2016年11月14日 関東地域マッチングフォーラムを開催 土壌蓄積養分と地域資源の利用による施肥コスト削減

農研機構は11月30日に、「土壌蓄積養分と地域資源の利用による施肥コスト削減」をテーマに関東地域マッチングフォーラムを開催する。この企画は、研究機関の開発技術を生産現場に迅速に普及定着させることを目的としており、生産者、普及関係者、研究者等による双方向の情報交換が行われる。当日は、埼玉県さいたま市のJA共済埼玉ビル3階大会議室を会場に、近年開発された簡易土壌診断法や土壌診断に基づく減肥技術、堆肥を原料とした低コスト肥料について紹介されるほか、実物やパネルの展示、技術相談も行われる。

近年、農業現場のニーズを踏まえた農業研究の推進と、研究成果の農業現場等への迅速な普及・実用化を促進することで、地域農業の振興を図ることが求められている。そのため、農研機構では、研究成果を実際に活用する生産現場の関係者と研究者が双方向の意見・情報交換を行う関東地域マッチングフォーラムを開催することとした。

現在、農業現場では、長年の耕作により土壌に過剰の養分が蓄積し、生理障害や病害の発生助長や環境への負荷が懸念されている。一方、肥料価格は高止まりの状態が続いており、施肥コストの低減が求められている。そのため、土壌蓄積養分を活用した減肥により、安定生産と施肥コストの低減、環境保全を図る必要性が高まっている。農業分野の研究では、こうしたことを実現するため、簡易な土壌診断法とその結果に応じた施肥技術の開発が進められている。

また、平成24年に肥料の公定規格が改正され、堆肥を原料としつつ、養分バランスを整えた混合堆肥複合肥料や高窒素鶏ふん肥料の製造・販売が広がりつつある。これらの肥料は、地域資源の利用により、海外から輸入される肥料原料への依存度を低下させることにより、従来よりも安定して低価格となる有機入り肥料である。しかし、窒素成分に比べてリン酸やカリウムの含有量が少ない銘柄も多く、土壌診断を実施しながら利用することも必要である。

 

簡易土壌診断法や土壌診断での減肥技術と堆肥を原料とした低コスト肥料

現状を受け、今回のフォーラムでは、近年開発された簡易土壌診断法や土壌診断に基づく減肥技術と堆肥を原料とした低コスト肥料が紹介される。当日のプログラムでは、講演会と実物・パネル展示、技術相談会が予定されている。

講演会では、まず、農研機構中央農業研究センター土壌肥料研究領域長の加藤 直人氏が開催趣旨を説明する。次に、中央農業研究センター土壌診断グループ長の高橋 茂氏が「畑・水田の可給態窒素の迅速評価」、茨城県農業総合センター専門技術指導員の藤田 裕氏が「茨城県での秋冬レタスの診断施肥」、群馬県農業技術センター環境部土壌保全係の染矢 和子氏が「群馬県における施肥キュウリのリン酸・カリ減肥」について説明する。さらに、岐阜県農業技術センター土壌化学部主任研究員の和田 巽氏が「コマツナ・ホウレンソウでのリン酸減肥」、朝日工業(株)農業資材本部開発部長の浅野 智孝氏が「混合堆肥複合肥料の開発」、岩手県中央農業改良普及センター県域普及グループ上席農業普及員の髙橋 正樹氏が「ブロイラー鶏ふん堆肥を原料とする肥料開発と普及状況」について説明を行う。講演の後にはパネルディスカッションが行われる。

実物・パネル展示では、▽混合堆肥複合肥料の展示 ▽高窒素鶏ふん肥料の展示 ▽食品残渣堆肥を原料とする肥料の開発と利用 ▽土壌肥沃土の簡易評価に応用できる簡易分析キット等の実演・展示 ▽土壌養分検定器等の展示 ▽スイートコーン・葉菜類でのリン酸減肥についてのパネル展示 ▽畑・水田土壌可給態窒素評価法についてのパネル展示 ▽土壌蓄積リン・カリ評価法の実演等 ▽土壌診断に基づく水稲作でのリン酸減肥についてのパネル展示 ▽リモートセンシングによるほ場乾湿特性分布と地力ムラの把握についてのパネル展示 ― が行われる。


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