2016年8月19日 鉱物科学会が「日本の石」選定へ 『水晶』など11種から、広く意見を募集

日本鉱物科学会では、〝日本の石(国石)〟を選定することとし、同学会会員だけでなく、広く国民から意見を求めることを決めた。一般社団法人化記念事業の一環として行うもので、選定にあたりワーキンググループを発足。『水晶』や『ひすい』、『花崗岩』など11種の第1次候補を選出しており、専門家や専門家以外の国民から寄せられた意見をもとに、今年9月24日に金沢大学で開催予定の総会で、総会出席者による投票により〝国石〟を決定する。

一般的に「石」と呼ばれる「岩石」や「鉱物」は、地質の基本的となる物質だが、人々の生活を支えてきた素材や資源でもあり、地球という星の誕生から現在までの変遷を記録した宇宙史、地球史の貴重な証拠でもある。

今回の〝国石〟選定は、日本で広く知られて、国内でも産する美しい石で、鉱物科学だけでなく、さまざまな分野でも重要性を持つものを、〝国石〟として決めることにより、日本人が立っている大地を構成する石について、自然科学の観点だけでなく、社会科学や文化・芸術の観点からも、重要性を認識するとともに、知識を広く共有することを目的とするもの。

意見の応募先は「jams_opinion@mbr.nifty.com」で、締切は9月5日。学会では、候補以外でも〝国石〟としてふさわしいものがあったら、提案をしてほしいとしている。

 

国会議事堂で使用『花崗岩』も候補に

国石候補に選ばれた『水晶』は一般的に良く知られているが、特に二つの板状結晶がハート形に接合した双晶には「日本式双晶(ジャパニーズ・ツイン)」と世界的に通用する学術的表記に日本の名がついている。

水晶と同様に有名な『ひすい』は、奈良時代まで利用された勾玉とともに日本史上重要な石として知られており、日本のシンボルと成り得る。『花崗岩』は、多くの城の石垣として、また、国会議事堂をはじめとする建築物や墓石にも石材として利用されている。

このほか〝国石〟候補として、学会では、花日本刀を連想させる『輝安鉱』、兵庫県豊岡市の六角の柱状節理を示す『玄武岩』、旧石器時代から古墳時代まで石槍や石鏃などに全国的に使われてきた『讃岐岩(サヌカイト)』などを選出した。

 

『桜石』は断面が〝花びら状〟

また、『桜石(菫青石仮像)』『黒曜石(黒曜岩)』も候補の一つとして、名が挙がっている。『桜石』は、断面が六弁の花びら状に見え、桜を〝国の花〟としているわが国の国石としてシンボル的な存在ともいえ、『黒曜石』は、特異な組成を持つ天然のガラスを多く含む安山岩で、旧石器時代から弥生時代まで石槍や石鏃などに主に西日本で使われてきた。

さらに、『自然金』や『トパーズ』『無人岩』といったものも候補となった。『自然金』は誰もが知っているが、幕末木に多量の金が海外流出するほどの産出量があり、明治期も富国強兵を支えてきた。

 

ナウマンも注目、日本の『トパーズ』

『トパーズ』は明治時代の万博に展示され、わが国のフォッサマグナ(中央地溝帯)をドイツの地質学者エドモンド・ナウマンも注目するなど、明治期以降ではわが国を代表する鉱物として世界的に有名だった。『無人岩』は明治時代に日本人によって記載された世界的に特殊な火山岩。東京都・父島などにあり、現在は世界遺産と国立公園として保護されている。


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