2020年4月14日 遠隔授業の活用検討を 大学等の臨時休業の実施で考え方示す

新型コロナウイルスの感染症拡大防止に向けて、わが国においても遅ればせながら安倍総理による緊急事態宣言が発出され、同時に生活困窮者や中小事業者らを対象とする緊急経済対策が打ち出された。文部科学省では、学生や教職員らに感染が判明した場合の大学等における臨時休業を実施する際の検討の基準を示すとともに、都道府県などの衛生主管部局との十分な相談を要請している。

学生や教職員の感染が判明した場合には、感染者の症状の有無、校内における活動の態様、接触者の多寡、地域における感染拡大の状況、感染経理の明否を確認しつつ、総合的に考慮し、臨時休業の必要性について都道府県・市町村衛生主管部局と十分相談の上、実施の有無、規模及び期間について判断することとなる。

この場合、感染の事実や感染者の人数のみで臨時休業を判断するのではなく、校内に既に感染が拡大している可能性や今後拡大する可能性について、個別の事情をみながら、臨時休業すべきか否かを判断する。

具体的には、屋外で活動していた場合と、狭い室内で特定の少人数で過ごしていた場合、不特定多数との接触があり得た場合など、活動の態様によって感染を広めているおそれは異なってくることから、感染者の校内での活動状況などを確認する。

また、接触者の多寡を確認し、地域において感染者が出ていない場合や、地域における感染経路がすべて判明していて、学校関係者とは接点が少ない場合などには、学校の臨時休業を実施する必要性は低いと言える。学校内で感染者が複数出た場合、学校内で感染した可能性もあり、臨時休業を実施する可能性は高まる。感染経路が判明しており、学校外で感染したことが明らかであって、他の学生や教職員に感染を広めているおそれが低い場合には、当然ながら学校の臨時休業を実施する必要性は低い。

今回の中国発祥の新型コロナウイルス感染症は、まだ解明されていないことが多い感染症で、また感染者の活動の態様によっても感染拡大の可能性も異なってくることなどから、感染者数などによる一律の学校の臨時休業の基準を定めることは難しい。感染者が発生した場合には個々の事例ごとに学校の臨時休業の必要性、実施する場合の規模や期間について、衛生主管部局と十分に相談の上、検討することが重要。

臨時休業実施の判断に当たっては、遠隔授業の活用を検討し、自宅における遠隔授業の実施が可能である場合には、そもそも、当該授業科目に係る大学の活動については、臨時休業の必要性はないものと判断できる可能性があるが、当該授業の具体的な実施形態によっては、更に大学内における感染が拡大する可能性もあることから、当該授業も含む臨時休業の実施に係る具体的な判断に当たっては、衛生主管部局との相談が求められる。

現在、東京、大阪をはじめ地域によっては、新規感染者数や感染経路が明らかでない感染者が増加している地域も出てきている。4月1日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言では、感染拡大警戒地域について、「①直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数が、その1週間前と比較して大幅な増加が確認されているが、オーバーシュート(爆発的患者急増)と呼べるほどの状況には至っていない。また、直近1週間の帰国者・接触者外来の受診者についても、その1週間前と比較して一定の増加基調が確認される。さらに、重症者を優先する医療提供体制の構築を図ってもなお、医療提供体制のキャパシティの観点から、近い将来、切迫性の高い状況又はそのおそれが高まっている状況」と指摘している。

こうした地域においては、大学等への通学にあたって、電車や路線バスの公共交通機関による通学をしている学生が多い場合には、通学中に学生に感染が生じたり、学生から感染が拡大したりする可能性が高まる。このため、公共交通機関による通学をしている学生が多い大学等においては、通勤時間帯を避けられるよう、授業の開始時間を遅らせることや遠隔授業の活用を検討するなど、学生の通学を介した感染拡大防止にも適切な対応が必要だ。

同様に、公共交通機関による通勤をしている教職員が多い大学等においても、在宅勤務や時差出勤の工夫を検討することが考えられる。文科省では、遠隔授業を教員が自宅において実施することは、面接授業に相当する教育効果が認められる場合には、法令上可能だとしている。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.