2017年2月16日 豚舎汚水処理の水質改善に極めて有用 アミノ酸バランス改善飼料の給与、温室効果ガス抑制の効果も

農研機構は、茨城県畜産センター、味の素アニマル・ニュートリション・グループ(株)、住友化学(株)アニマルニュートリション事業部との共同研究で、肥育豚へのアミノ酸バランス改善飼料の給与が、豚舎汚水処理の水質改善に極めて有用であることを飼養から浄化処理までの一連の試験で明らかにした。

養豚農家では、豚舎汚水に含まれる窒素を浄化処理により低減した後、処理水として排出している。排出される処理水中の全窒素濃度は水質汚濁防止法により厳しく制限されているが、平成28年7月に養豚業等に適用される「硝酸性窒素等(アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物)」の排水基準(暫定基準)が700mg/Lから600mg/Lに引き下げられたため、新しい暫定基準、さらには将来的な一般基準(100mg/L)への対応が急務となっている。

浄化処理能力の向上は、施設の増強によっても実現できる。しかし、更新や改修に多くの費用がかかるため、容易な方法とは言えない。そこで研究グループは、経費を抑えつつ排出される処理水中の全窒素濃度を低減させるため、肥育豚へのバランス飼料の給与による処理水の水質改善効果の検証を実施した。

 

生産性に影響しないことも確認

アミノ酸のバランスを改善した低蛋白質飼料であるバランス飼料は、慣行飼料よりタンパク質含量が3%低く、4種類の必須アミノ酸(リジン、メチオニン、スレオニン、トリプトファン)を添加した配合飼料。価格はその成分調整方法から考えて、慣行飼料と同等である。

研究では、バランス飼料を給与した場合、肥育後期における豚舎汚水中の全窒素濃度は慣行飼料給与時の約65%に低減した。さらに、浄化処理後の処理水の全窒素濃度は約65%に低減し、平均202mg/Lとなった。

また、浄化処理過程で発生する温室効果ガス(一酸化二窒素)は、慣行飼料給与時の約17%(排出係数0.5%)に低下し、排せつ窒素量の減少が、そのまま温室効果ガス削減に繋がることが確認された。

さらに、出荷体重110㎏(試験終了時)までの肥育豚の日増体重は、バランス飼料・慣行飼料を与えた場合ともに0.94~0.99㎏で有意差はなく、日本飼養標準の標準値の範囲内だった。肥育豚の枝肉格付けも同等の成績で、バランス飼料の利用が生産性に影響しないことも確認された。

平成25年6月に飼料の公定規格が一部改正され、環境負荷低減型配合飼料(子豚育成用、肉豚肥育用)の公定規格が新設されたが、開発されたバランス飼料は、公定規格に適合している。

 

他の肥育豚についても期待

今回の研究では、茨城県の銘柄豚を対象に実証実験が行われたが、他の肥育豚についても同様の肥育成績や浄化成績が期待できる。また、バランス飼料の給与により、窒素輩出の低減に伴う悪臭防止効果も期待できる。

さらに、バランス飼料は温室効果ガス削減効果を持つことから、この飼料の導入により、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を国が認証する「J‐クレジット制度」の活用が可能になる。


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