2019年4月8日 被災経験若者の7割が「役に立った」 日本財団が防災教育などで若者意識調査

学校での防災教育について、被災経験のある若者の7割以上が「役に立った(と思う)」と回答するなど、意義があると感じていることが、日本財団の調査で明らかとなった。同財団が17歳から19歳男女を対象に行っている調査(18歳調査)で、〝何も学ばなかったら行動に移せない〟と、防災教育の意義を感じている現状が浮き彫りになった。

被災経験について聞いたところ、47.0%が「はい」と回答。また、2011年3月11日に発生した東日本大震災から8年が経過し、ここ数年、毎年のように地震や豪雨による被害が発生していることに関しては77.6%が不安を感じていると答えている。

不安を感じる理由としては、「日本が災害多発国だから」が最も多く68.9%。次いで「想定外の災害の常態化」(38.5%)、「大規模災害が想定される地域に住んでいる」(30.0%)が続いた。また、過去に大規模災害を経験したことを不安に感じる理由としてあげる若者も19.5%いた。

一方、不安を感じることがないとの回答者にも理由を聞いた。最も多かったのは、「自分ごととして実感できない」で36.3%。以下、「災害を経験したことがない」(32.4%)、「自宅の立地が安全だと思う」(26.3%)、「過去に災害が起きたことがない地域に住んでいる」(19.6%)との声が多く聞かれた。

 

防災対策、8割が「充分ではない」

国の防災対策に関する調査では、80.9%が「充分ではない」と回答。理由としては、53.3%の「想定を超える災害の多発に政策が追いついていない」がトップで、次いで、「都市政策の災害対応が充分といえない」、「老朽化した橋や道路などインフラの整備が不充分」が43.0%、42.7%と上位を占める。

さらに、「防災教育が充分ではない」(32.5%)、「避難場所などがわからない」(23.0%)、「ハザードマップが活用されていない」(23.0%)といった回答もみられた。

充分と回答した若者にも理由としては、「なんとなくそう思う」が39.2%で最も多く、「災害多発国としての充分な経験がある」(23.5%)、「防災教育が充実している」(22.9%)が上位を占めた。

また、「住んでいる地域の災害対策が進んでいる」「特段の不安を感じていないから」「災害に対応した家に住んでいる」との回答も多かった。

 

防災教育、「リアリティに欠ける」との声も

〝防災は自助が基本〟と言われていることから、災害時の備え準備に関しても尋ねた。最も多かったのは「地域で定められた避難場所を知っている」で50.9%。「耐震構造の家に住んでいる」「防災グッズ(水、食糧等)を準備している」が4割超で、「家族で落ち合う場所を決めている」「家族や近所で災害時の対応について相談したことがある」「非常の場合に持ち出すものを用意している」が3割を超えた。

さらに調査では、学校の防災教育に関しても質問した。「役に立った」と答えた若者は64.9%、被災経験のある層では71.0%が「役に立った/役に立つと思う」と回答した。理由に関しては、被災経験者は「落ち着いて行動できた」「パニックにならなかった」など、被災経験のない若者は「やらないよりは良い」「何も学ばなかったら行動に移せない」「他ではまなべない」としている。

役に立たなかった理由としては、被災経験者からは「リアリティに欠ける」「想定外過ぎて避難訓練のように冷静に動けない」「自宅でどのように行動すればよいのかわからない」という意見が目立った。被災経験がない層は「緊張感がなかった」「校内でしか役立たない」「本当に災害にあったときに同じ行動ができるとは限らない」との声があった。


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