2016年5月6日 藝大企画展「いま、被災地から」 ―岩手・宮城・福島の美術と震災復興―

〝震災列島日本〟とはよく言ったもので、千年に一度とも言われる東日本大震災が発生して5年経過した今、今度は熊本・大分地震で多くの被害が出ている。亡くなられた方々への哀悼の念と今後の復興が迅速に進むよう祈念しております。

東日本大震災の復興はまだまだ道半ばといったところだが、被災した美術品の復興活動に取り組んでいる東京藝術大学では、5月17日から6月26日まで東京・上野の同大大学美術館で企画展「いま、被災地から ―岩手・宮城・福島の美術と震災復興―」展を開催する。

2011年の東日本大震災では陸前高田市立博物館、石巻文化センターなど多数のミュージアム施設が地震や未曽有の津波で被災し、貴重な文化財をはじめとして多くの文化資源、美術資料が損傷した。

 

近現代作家の優品を一堂に

震災直後から支援の手が全国から差し伸べられ、資金援助や寄附などもあり、復興活動が始まった。特に美術資料に関しては、全国美術館会議がいち早く東日本大震災復興対策委員会を立ち上げ、岩手県、宮城県、福島県の県立美術館などと連携しながら作品の救出、修復、復元などの事業を計画的、継続的に実施してきた。

2016年を迎えても修復作業などは終わらないが、今回の企画展では、5年間の経過報告を行うことなどをねらいとしており、作品の被災状況、救出活動などを臨場感あふれる写真で紹介し、修復された作品の一部を展示するとともに、企画展を通じて東北地方ゆかりの近現代作家の秀逸な作品を一堂に展示する。

藝大では、「文化財保護を考える一方で、東北地方の豊かな美術文化の土壌を体感できる貴重な機会となる」と観覧を呼びかけている。

今回の企画展は、第1部「東北の美術―岩手・宮城・福島」と第2部「大震災による被災と文化財レスキュー、そして復興」の2部構成。

 

東北芸術の精神性を紹介

第1部では、岩手県、宮城県、福島県が生んだ近現代の美術作家たちの優品を紹介する。各県立美術館の常設展示室を飾っている作品が一堂に会することで、それぞれの個性が際立つと同時に、全体を貫く伝統が感じることができる。

東北地方の作家たちが描き出した作品によって、東北美術の特質と魅力、そこに込められた精神性を浮かび上がらせる。

 

文化財レスキューと復興の取組

全国美術館会議は大震災直後から被災した作品・資料の救出保護に取り組み、半年後の2011年秋には多くの作家たちの協力を得てチャリティ・オークションを開き、その収益や全国から寄せられた義援金をもとに文化財の修復などを行ってきた。

第2部では、5年間の一連の事業の記録と成果を写真パネル、修復作品などで紹介し、地域社会に貢献する美術館活動の意義などを探る。藝大では「今後の復興への課題について理解を深める機会ともなるだろう」と期待を示している。


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