2017年9月20日 肥満と脳の皮質体積の減少との関連を解明 国立精神・神経医療研究センターが発表

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センターは7日、同センターの神経研究所疾病研究第三部の功刀浩部長らの研究グループが、体格指数(BMI)30以上の大うつ病性障害患者における認知機能の低下と脳構造の変化に関連性があることを初めて明らかにした。研究成果は、学術誌「Journal of Affective Disorders」(電子版)に掲載されている。

大うつ病性障害は、「うつ病」の一種。気分の落ち込みなどの症状に加え、記憶や問題解決能力といった認知機能の低下が特徴的だ。近年では、肥満と大うつ病性障害に共通の病態が指摘されていたものの、肥満がうつ病患者に臨床上どのような影響を及ぼしているのかは、よくわかっていなかった。

研究では、年齢や性別、人種(日本人)、利き手(右利き)の大うつ病性障害患者307人と、健常者294人を対象に分析。大うつ病性障害患者では、BMIで分類し、認知機能を比較したところ、作業記憶や実行機能などで肥満患者17人より非肥満患者290人の方が高いことを確認した。一方、健常者では、BMIが30以上の肥満だけが認知機能の低下を示すというより、BMIが「体重不足」→「正常体重」→「過体重」→「肥満」と高くなるにつれて、認知機能が低下する傾向がみられた。

また、MRIの画像解析では、大うつ病性障害患者の肥満群7人と非肥満群107人を比較。肥満患者が非肥満患者よりも、脳の表面にあたる灰白質の体積と、内側にあたる白質の神経結合が低下していることを確認した。具体的に、灰白質では、前頭葉、側頭葉、および視床、さらに白質では内包と左側視放線と呼ばれる部分の神経結合が、大うつ病性障害患者のうち肥満者の脳において有意に減少している。

 

■ うつ病治療で体重管理が重要に

研究チームは、今回の成果について「体重コントロールが大うつ病性障害患者の認知機能や脳形態にプラスの効果をもたらす可能性を示唆している」と指摘。今後、さらに研究を深めていくことで、減量が大うつ病性障害の認知機能改善に繋がるかを検証する必要があるとした。そのうえで、認知機能の改善は職場復帰や家庭での家事能力の回復と大きく関連することから、「うつ病治療において体重コントロールを行うことが、重要な点に位置づけられるようになるだろう」と展望を語っている。

MRIの画像解析(プレスリリースより引用)


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.