2018年4月20日 競争の激化で淘汰が加速 介護事業者の倒産、過去最多を更新 昨年度

今回は年度ベースのデータ。また過去最多を更新したという。今の経営環境の厳しさを改めて浮き彫りにした形だ。

東京商工リサーチが9日に公表したレポートによると、昨年度の介護サービス事業者の倒産は115件にのぼっている。これまでで最も多かった2016年度(107件)を8件上回った。深刻な人手不足に加えて、2015年度の介護報酬のマイナス改定や同業他社との競争の激化が背景にある。「経営力、資金力が劣る事業者の淘汰が加速した」。そう分析されている。廃業や撤退を選んだところはさらに多いとみられる。

規模が小さくスタートして間もない事業者の倒産が目立つ。従業員が5人未満のところが全体の60.9%、10人未満のところが80.0%。負債額は1億円未満が80.9%を占めている。また、39.1%は2012年度以降に設立された比較的新しい事業者だった。

倒産は訪問介護とデイサービスで多い。「訪問介護事業」が40.9%、「通所・短期入所介護事業」が38.3%。この2つで79.2%を占めていた。倒産に至った原因をみると、業績不振が45.2%で最多。以下、事業上の失敗が22.6%、過小資本が9.6%などと続く。倒産の形態では、事業消滅型の破産が93.0%。再建型の民事再生法は3件のみだった。

「事前の準備・計画が甘い事業者が思惑通りに経営できず行き詰まったケースが多い」「業績不振に陥ると再建が難しいことを反映した」。東京商工リサーチはそう指摘。今年度の改定で通所介護の報酬が「適正化」されたことや、医療との連携が求められ参入障壁が以前より高まっていることなどを踏まえ、今後についても以下のような厳しい見通しを示している。

「経営体制の未整備や経営基盤の脆弱な事業者が『ふるい』にかけられる状況は避けられない」

 


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