2017年3月22日 福島県で転出超過が拡大 東日本大震災前後の人口移動状況

総務省統計局は、今年1月に公表した「平成27年国勢調査移動人口の男女・年齢等集計結果」を基に、22年国勢調査の結果を東日本大震災前、27年国勢調査の結果を東日本大震災後として、人口の移動について主に福島県の状況を公表した。それによると、岩手県、宮城県と福島県の3県について、東日本大震災前後の転入者数、転出者数と転入または転出超過数をみると、東日本大震災前の22年と比べると、岩手県は転出超過から転入超過に転じ、宮城県は転入超過が拡大。福島県は東日本大震災前の22年も転出超過であったが、震災後に転出超過が拡大した。

3県の中で唯一転出超過となっている福島県の状況をみると、転入または転出超過数について、年齢10歳階級別にみたところ、東日本大震災後の27年では、55~64歳を除いたすべての年齢階級で転出超過となっている。東日本大震災前の22年と比べると、15歳未満と35~44歳の転出超過が拡大している。また、25~34歳と65歳以上は、震災前後で転入超過から転出超過に転じている。

福島県の転入または転出超過数について、男女や年齢5歳階級別にみると、男性では、45~49歳と50~54歳の者について、東日本大震災前の22年は転出超過であったが、東日本大震災後の27年は転入超過に転じており、転入超過数は55~59歳が最も多くなっている。

女性では、14歳以下を除いて、東日本大震災前の22年は25~34歳と55~74歳は転入超過であったが、東日本大震災後の27年はすべての年齢階級で転出超過となり、特に30~44歳は転出超過が拡大している。

また、男女ともに5~9歳と10~14歳の者でも転出超過が拡大しており、14歳以下の子供とその親の世代に当たる年齢層が転出超過となっている。

どの都道府県から福島県への転入者が多いか、またどの都道府県への転出者が多いかを割合でみると、転入者の割合が最も高いのは東京都の14.9%で、次いで宮城県が13.5%、神奈川県が8.4%などとなった。一方、転出者の割合が最も高いのは宮城県の16.4%で、次いで東京都が13.4%、埼玉県が9.7%などとなっている。

福島県内の市町村別に移動人口の割合をみると、割合が高い順に楢葉町(72.0%)、広野町(42.9%)、南相馬市(36.1%)、川内村(30.2%)、新地町(29.6%)、相馬市(28.9%)、いわき市(24.3%)、福島市(23.9%)、郡山市(23.1%)、西郷村(22・5%)、会津若松市(20.8%)となり、これら11市町村が福島県の移動人口の割合(20.8%)を上回っている。

移動人口の割合が高い市町村のうち、とくに割合が高かった楢葉町、広野町、南相馬市について、現住所での居住期間が「5年未満」の者が5年前に住んでいた場所を東日本大震災前の22年と比較。楢葉町では、5年前に住んでいた場所の割合を22年と比べると「他県」(23.1%から63.7%へ40.6ポイント拡大)、次いで「現住所」(1.8%から27.1%へ25.3%拡大)が拡大している。

広野町でも、5年前に住んでいた場所の割合を22年と比べると「他県」(32.4%から46.9%へ14.5ポイント拡大)が最も拡大しており、南相馬市も同じく「他県」(17.8%から26.6%へ8.8ポイント拡大)が拡大している。


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