2018年8月6日 真に人に優しい不動産を目指す 2030年を目途とする今後の不動産のあり方

国土交通省は、昨年12月に設置した「働き方改革を支える今後の不動産のあり方検討会」での議論を踏まえ、このほど「2030年を目途とする今後の不動産のあり方」についてとりまとめを行った。とりまとめでは、人々が働き、暮らす上で、時間的・場所的制約から解放され、活動し、休息する人間の1日24時間を充実させる『真に人に優しい不動産』を目指して、「オフィス」、「住まい」、「まち」それぞれが発展していくことを提言している。国交省ではまた、他の国の機関や自治体のモデルとなるよう、初めてフリーアドレスを導入した。

我が国不動産の需要と供給を巡る環境の変化について、不動産の供給側の視点でみれば、不動産の立地場所に係る制約が緩やかになってきたこと、需要側の視点でみれば、不動産に求める活用内容が多様化しつつあることを指摘。こうした需給両面の変化を的確に捉えて、今後の不動産のあり方を考えていく必要があるとしている。

また、今後予想される日本社会の変化として、働き方改革の進展、少子・高齢化、人口減少社会の進展、新技術の活用・浸透(「Society5.0」)、インフラ整備の進展、地球環境問題の制約、健康志向の高まり、自然災害の脅威をあげている。

その上で、日本社会のあるべき方向性として、これからの時代は、生産性の向上とともに多様なワークスタイル、ライフスタイルを選択できる時代であり、日々活動し、休息する人間の1日24時間の充実を図っていくことが重要と提言している。

これからの不動産のあり方については、現在、サテライトオフィスや在宅でのテレワーク等の活用、コワーキングスペースによる「働く場」の共有など、不動産を核に多様なサービスを確保し、人々の多様な働き方を支援する取組が進められていることを記述。これらの取組は、人々の「1日24時間の充実」を図るもので、幸福感を高め、「well‐being」の実現に繋がるものと指摘。こうしたことを踏まえ、これからの不動産は、人々が幸福を感じる『真に人に優しい不動産』を目指すべきとの考えを示した。

また、個々の不動産の質を高め、多様なサービスを提供する「場」とすると同時に、各種サービスの面的な展開により、地域のエリア価値を向上させることや、個々の不動産価値とエリア価値の相乗効果で、相互の価値をさらに発展させることとした。

その上で、行政は、『真に人に優しい不動産』の普及・拡大に向け、政策誘導的な措置の強化に取り組むよう提言。また、国の機関や自治体のモデルとなるよう、国交省でフリーアドレスの導入等に先導して取り組むことを求めている。

今後の不動産業の関わりでは、人口減少社会にあっても、不動産とエリアの価値を相乗的に向上させるためには、交通、運送、医療等、他の業種や行政との連携・協働も重要と指摘。これからの不動産のあり方を踏まえ、今後の不動産業に係る中長期ビジョンを年度内に策定することを提言した。

このほか、グローバル社会の中で、産学官が一体となって、戦略的に不動産ビジネスの発展に取り組むことが重要であるため、産学官連携による不動産政策推進の研究拠点を2020年頃を目途に形成することとしている。


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