2020年1月23日 登録科学技術刊行物が3千誌に到達 J‐STTAGE運用開始20周年で

科学技術振興機構(JST)が運営する「科学技術情報発信・流通総合システム(J‐STAGE)」は、1999年の運用開始から20周年を迎え、登録されている科学技術刊行物の数が、今年、2020年1月7日で3000誌に到達した。

J‐STAGEは、日本の学協会などが発行する電子ジャーナルを出版・提供するウェブサイト。

JSTによると、J‐STAGEの運用を開始した1999年には、インターネットの世界的な普及が進んでおり、学術出版業界でもジャーナルをインターネット上で公開する「電子ジャーナル出版」が既に各国で始まっていた。一方で、当時の日本国内には電子ジャーナル出版に対応できる体制が整っておらず、J‐STAGEの運用開始当初に登載されたジャーナルはわずか3誌だった。

その後、世界標準への対応を目指して学術情報流通の国際的な動向を注視しながら、国内の学協会と協力し、より良いシステムやサービスへと改善した結果、運用開始から20年を経て、国内で発行される科学技術刊行物3000誌を登載する世界有数の科学技術情報プラットフォームへと成長した。

JSTは今後もJ‐STAGEのサービス向上に努め、日本で発表される科学技術情報の迅速な流通と、国際情報発信力の強化を推進していく。

 

2回の大幅バージョンアップで

1990年代、インターネットの普及に伴い、学術出版業界に「電子ジャーナル出版」という新たな出版形態が登場した。当時の国内の学協会などにおいては、電子ジャーナル出版の必要性について理解は進んでいたが、独自に電子ジャーナルを公開するシステムを構築するのに多大なコストがかかるため、実際に電子ジャーナル出版を行っている学協会はわずかだった。また、そうしたノウハウを持たない学協会が海外大手出版社に自機関のジャーナルの出版を委託する例も見られるようになっていた。

こうした状況の中で、日本の研究成果情報を国際的に発信していくために、国内に電子ジャーナル出版プラットフォームを構築することが求められ、1999年10月に「技術情報発信・流通総合システム(J‐STAGE)」が誕生した。

J‐STAGEは、1999年の運用開始以降、2回の大幅なバージョンアップを行い、時代に即したより良いシステムやサービスを提供してきた。最新のアップデートでは、オープンアクセスの推進を目的として、論文の自由な二次利用を許可する国際標準のライセンス「CCライセンス」を論文ごとに表示する機能を追加した。

また、幅広い刊行物をオンライン公開したいという国内の学協会などのニーズに応え、人文・社会科学を含めた科学技術分野全体を対象とし、技術報告書や会議要旨集を加えるなど、登載対象誌の範囲を拡大してきた。さらに、歴史的な重要な明治時代以降の刊行物を電子化したアーカイブ誌も公開している。

その結果、2019年7月にスペイン高等科学研究院が行った調査では、J‐STAGEが世界で2番目に多く無料アクセス可能な論文記事を提供するジャーナルポータルサイトであることが示された。また、2020年1月7日には、登載されている科学技術刊行物の数が3000誌に到達した。

J‐STAGEは今後も時代に即したサービスやシステムの提供を通して、日本の研究成果情報の国際発信力の強化に努めていく。また、公的な助成によって得られた研究成果を誰もが障壁なく享受できることが求められる時代に、学術情報流通のあり方について検討し、日本の学協会などがジャーナル出版に関する戦略を自ら考える一助となるような情報を提供していく。


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