2019年4月19日 留学生の適切な指導が課題 文科省が受入れ・在籍管理の徹底を要請

一部の大学で受け入れた留学生が所在不明となったり、各種犯罪に関与したりするなど、就学を目的とした留学生の受入れと留学生に対する適切な指導が課題となっている。

特に、留学という口実のもと、日本での就労=稼ぎを目当てに在留するような学生を安易に受け入れることは、大学における学修の阻害要因となることに加え、悪質な仲介業者らが関与することによる経済的被害や違法な資格外活動への従事、日本国内での失踪という事態、ひいては犯罪や不法行為に巻き込まれることも懸念される。

また、受け入れ機関である大学にとっては、教育活動や適切な在籍管理、ひいては学校運営そのものに支障をもたらす恐れがある。

 

大学の信用失墜の恐れ

こうした留学生に係る問題について文部科学省は、「留学生個人や受け入れ機関である個別の大学等の社会的責任が問われるのみならす、適正な留学目的で来日している留学生も含め留学生政策全体の社会的信頼・信用の失墜につながりかねない」と指摘。全国の国公私立大学に対し、外国人留学生の受入れ及び在籍管理の徹底を適切に行うよう要請している。

文科省では、昨年6月に発出した高等教育局長通知においても「真に修学を目的とした者が選抜されるよう適切に実施する」ことを求めている。学生数の確保という観点で安易に留学生を受け入れることは厳に慎むとともに、充実した教育指導や留学生を含んだ適切な定員管理を確保する観点から、留学生の受入れ数については入学定員、教職員組織、施設整備などを考慮した適切なものとし、教育体制の現状に見合わない過大な受入れ数にならないようにする必要がある。大学は入学を許可して受け入れた外国人留学生については、自ら責任を持って在籍の管理を行う必要がある。

文科省は、留学生について、学業成績、資格外活動の状況などを的確に把握し、長期欠席者や学業成績の良好でない者に対する連絡や指導を徹底するとともに、改善の見込みのない場合には退学をはじめとする適切な対応を求めている。退学といった処分を行い、学生が留学目的を達成する見込みがなくなった場合には、その学生が確実に帰国するよう大学が責任を持って適切な対応を依頼している。

また、外国人留学生が授業料未納となっていることが判明した場合、各大学は適切に状況を把握し、指導を行うことが望まれる。授業料未納となっていることを理由に除籍した場合であっても、当該学生が不法滞在にならないよう、適切な対応が求められる。

大学に設置される留学生向けの別科についても、無秩序な規模の受入れとならないように努めるとともに、各大学が自らの責任において、大学設置基準や日本語教育機関の告示基準を参考にし、教員数、校地・校舎面積、学生数、授業の方法、施設及び設備などについて教育にふさわしい環境の確保を図るなど、留学生の適切な受入れ及び在籍管理の徹底を行う必要がある。

さらに、研究生や聴講生といういわゆる「非正規性」については、学生数の確保という観点のみで受入れると、無秩序な規模の受入れとなる恐れもある。規模も含めた適切な受入れ及び在籍管理の徹底が求められる。

 

除籍・退学者の報告を要請

文科省では、外国人留学生の退学者・除籍者・所在不明者の文科省への定期報告について昨年3月の通知で、協力を要請しているが、今後はこの通知(外国人留学生の適切な受入れ及び外国人留学生の在籍管理等について)に基づき、新たに除籍者・退学者の理由などについても報告を要請することとした。


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