2016年8月5日 産業構造強化や業務効率化等 内航海運のあるべき姿で検討会が中間まとめ

昨年7月に国土交通省の交通政策審議会海事分科会基本政策部会で船舶と船員の2つの高齢化、99.7%を占める中小企業の脆弱な経営基盤への対応など内航海運の諸課題について、関係者間で議論すべきと提言されたこと等を踏まえ、今後の内航海運のあるべき姿と取組の方向性を議論していた国交省の検討会(座長:竹内健蔵東京女子大学現代教養学部教授)はこのほど、早急に着手すべき取組について中間とりまとめを公表した。この中で、産業構造強化、船員確保・育成、船舶建造、業務効率化、需要獲得の5つのテーマに沿って、早急に着手すべき取組を示しており、今後は、概ね10年後の社会経済情勢の見通しを踏まえた内航海運業のあるべき姿から議論を行い、来年6月を目途に最終とりまとめを行う方針だ。

中間とりまとめでは、平成17年4月の内航海運業法改正後の状況の変化について、事業者で輸送量が約13%減少し、事業者数は約21%減少(オペレーター約8%減少、オーナー約30%減少)、船舶数(隻)が約14%減少していることを指摘している。

また、船員数は約7%減少し、50歳以上の割合が約5%減少する一方で、60歳以上の割合は約2倍に増加し、30歳未満の割合も約70%増加していることを取り上げている。

このほか、1航海当たりの輸送ロットが減少傾向にあること、内航海運暫定措置事業の今後の道筋がある程度見通せる段階にあることも指摘している。

 

早急に着手すべき取組

中間とりまとめで示された早急に着手すべき取組について、産業構造強化では、良質な輸送を持続的に提供するため体力の強い船団の育成が必要との考えを示した。

その上で、全内航海運事業者を対象とした経営実態・船員の労務実態等の調査を今年9月まで実施。

船員確保・育成においては、高齢職員の大量離職に備えて若年船員を確保・育成する必要があることを指摘している。

その上で、商船系高専生の面接機会拡大等の船員供給体制強化を求めた。

また、船員派遣制度を活用した事業者関連系の促進、事業者への支援を検討することも必要としている。

船舶建造については、良質な輸送を継続的に提供するため、計画的に船舶建造を進める必要があることを指摘。

その上で、省エネ技術を活用した船舶の建造、省エネ機器の導入に係る誘導・支援方策を検討(プロペラ機器等。気象情報と連携した運航支援システム等)することを提言した。

業務効率化については、産業全体の成長に貢献するため効率化による生産性向上が必要であることを指摘。

このため、業務効率化・コスト削減に効果的な設備・機械等の導入方策に係る支援方策の検討(気象情報と連携した運航支援システム等。ローディングアーム・ディープウェルポンプ等)が必要としている。

新規需要獲得については、トラック輸送されている貨物が海上輸送に転換しやすい工夫が必要との考えを示した。

その上で、新規荷主が利用しやすいよう、RORO船・コンテナ船とフェリーによる連携体制構築・利用情報一括提供サイト構築について検討することを提言した。


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