2016年12月12日 災害状況要約システムを試験公開 人工知能で瞬時に被災報告[情報通信機構]

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、耐災害ICT研究センター及びユニバーサルコミュニケーション研究所において開発している災害状況要約システム「D‐SUMM(ディーサム)」をウェブ上に試験公開している。

ディーサムは、人工知能を用いて、ツイッターに投稿された災害関連情報をリアルタイムに分析し、都道府県単位や市町村単位でエリアを指定すると、指定エリア内の被災報告を瞬時に要約し、そのエリアの被災状況の概要が一目でわかるように、コンパクトでわかりやすく提示し、各種救援、避難などを支援する。

今回の研究の一部は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム「レジリエントな防災・減災機能の強化」(管理法人・JST)の支援を受けて実施したもの。

NICTは、すでに対災害SNS情報分析システムDISAANA(ディサーナ)のリアルタイム版を2015年4月8日から試験公開し、2016年の熊本地震をはじめとする災害において、ツイッター上の災害関連情報へ素早くアクセスできる手段として、活用されている。ところが、ディサーナでは、大規模災害の発生時に膨大な被災報告が出力され、被災状況の概要を一目で把握することは困難だった。そこで、この課題を解決すべく、災害状況要約システムの研究開発を進めていた。

ディサーナでは、「火災が発生している」「火事が起きている」など、意味的に類似する被災報告が別々に出力されていた。ディーサムでは、これらの報告をひとまとめにすることで、よりコンパクトに被災報告を要約して提示する。また、被災報告を地震、道路やインフラの被害、物資の不足などタイプごとに分類して、必要とする情報へのアクセスを容易にする。

さらに、被災報告を整理し、重大な被災報告が多く挙がっているエリアから順に表示することで、どのエリアの被害が大きいかをわかりやすく提示する。

これらの機能を実現するために、ディサーナで被災報告のタイプを分類するために使用していた意味カテゴリー辞書(2800万語)を機械学習、統計処理を用いて細分化し、より細かい意味カテゴリーを設けた。

こうした工夫によって、地図上での表示も含めて、より直感的で分かりやすい被災状況の提示が可能になり、効率的な救援、避難の支援が可能になると期待される。

 

機能追加や使い勝手の向上も

一方、ディサーナは、特に質問応答モードで「熊本県で何が不足していますか?」のように質問を入力した場合、ディーサムの提示する情報より、角度の低い情報まで発見するように作られており、特に重要な情報はディサーナでも質問を入力し、検索することも有用だ。

NICTでは、ディーサムについても今後は、ディサーナ同様、実際に救援活動を行う機関などと協力して、実証実験を行い、さらなる機能追加や使い勝手の向上を図っていく方針だ。


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