2017年5月24日 火災予防対策等の充実強化 今後の消防の在り方に関する検討会報告書

消防庁では、昨年12月22日に糸魚川市の木造の建築物が密集した地域において大規模火災が発生したことから、「糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会」で、この際の消防活動等を検証した上で、今後取り組むべき火災予防、消防活動、消防体制等の充実強化のあり方について検討。今般、報告書が取りまとめた。報告書では、各消防本部において取り組むべきこととして、火災予防対策、消防水利、消防団、被災者支援手続きの迅速化について、早急に取り組むよう提言している。

火災予防対策では、同火災は、木造の建築物が密集した地域における火災予防対策の必要性を再認識させるものであったことから、確認・指定することとされた地域を中心に出火防止対策、早期各地対策、初期消火対策を進めるよう提言。その他の地域においてもこれに準じて対策を進めることとしている。

消防水利では、同火災において、消防水利の不足を補うため、コンクリートミキサー車等による給水の支援を受け、継続的な消火活動が可能な体制を整えることができたことを踏まえ、地元建設業協会等及び個別の地元建設業者等との間で、給水活動等についての協定をあらかじめ締結しておくことを求めている。

消防団については、消防団の充実強化、安全管理の再徹底、敷材点検・訓練の徹底、被災者支援手続きの迅速化を提言。このうち、消防団の充実強化では、本火災は、常備消防が一定程度整備されている都市部においても、地域に密着した消防団の力が不可欠であることを再認識させるものであったため、消防団の充実強化に向けて、女性や若者をはじめとする消防団への入団促進、消防団協力事業所に対する優遇制度の導入等を進めることとしている。

安全管理の再徹底では、同火災において、強風により目に異物が入り消防団員11名が受傷し、また、装備品以外の長靴を着用していたため釘の踏み抜きにより消防団員2名が受傷したことから、消防団員に対するシールド付き防火帽などの安全装備の充実、正しい着装の徹底等を図るよう求めた。

資機材点検・訓練の徹底では、本火災において、放水活動に用いた消防団の保有する可搬ポンプの約3割に不具合が発生し、そのうち中継送水時の過大圧による破損など機器の不適切な取扱いによるものもあったことから、可搬ポンプをはじめとする消防団の所有する資機材について、点検整備及び取扱い訓練を徹底することを提言している。

情報通信機器をはじめとする装備の充実・訓練では、本火災において、消防団に配備されていた携帯用無線機の数が限られており、広範囲にわたる火災現場において指揮本部からの指示が行き届かなかったことから、消防団の装備の基準の一部改正を踏まえ、情報通信機器の集中的・計画的な配備及び訓練を推進することを要望した。

今後取り組むべき主な事項としては、「市町村消防計画の基準の制定について」の見直し、「烈風下の消防対策について」の見直し、火災の状況により隣接消防本部等が応援要請を待たずに出動すること、都道府県や代表消防本部が応援調整することなど、応援体制の見直し等をあげている。


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