2018年6月18日 洋上風力発電のバージ型浮体が完成 次世代浮体式システム‐北九州市沖に実証機設置へ‐

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と日立造船株式会社は、次世代浮体式洋上風力発電システムのバージ型浮体を完成させた。

完成した次世代洋上風力発電システムのバージ型浮体

この事業で採用しているバージ型浮体の特徴は、一般的なセミサブ型と比較して小型・軽量で、水面下に沈む構造物の深さ(喫水)が浅いため、水深50メートル程度の浅い海域でも設置が可能なこと。今後、北九州港響灘地区において風車搭載、設置海域での係留や電力ケーブル接続を行い、今夏から北九州市沖に実証機として設置し、今秋頃からの実証運転開始を予定している。

洋上風力発電は風車を支える基礎構造の形式により、海底に基礎を設置する「着床式」と、基礎を海に浮かばせる「浮体式」に大別される。NEDOが実施した調査において、日本の海域で洋上風力が導入可能な海域面積を離岸距離30キロメートル、水深200メートルまでの海域範囲で調査したところ、着床式と浮体式の経済性が入れ替わるとされる水深50メートルで区切った場合、浮体式(7万7442平方キロメートル)は着床式(1万4745平方キロメートル)に比べて約5倍の導入可能海域面積を有することがわかった。したがって、洋上風力発電の導入を加速するためには、着床式洋上風力発電の導入に加えて、より広い海域に導入が可能となる浮体式洋上風力発電が必要となる。

すでに国内外で2MW~7MWクラスの浮体式洋上風力発電の実証研究が開始され、技術的な検証が進められているが、普及を拡大していく上では、着床式洋上風力の発電コストと競合できる、さらなる低コスト化に向けた先進的な技術開発が必要とされている。

NEDOは、浮体式洋上風力発電にとって比較的浅い水深50メートル程度から設置可能で、かつ一般的なセミサブ型浮体と比較して小型・軽量なバージ型浮体の開発を行う実証事業を進めてきた。

設置予定地域

日立造船堺工場で完成したバージ型鋼製浮体は、福岡県北九州港に曳航され、そこで風車を搭載した後、北九州市沖合の響灘において係留および電力ケーブルの接続を行い、実証運転を開始する。

システムは、鋼製のバージ型浮体式構造物に2枚翼アップウィンド型3MW風車を搭載し、スタッドレスチェーンと高把駐力アンカーの組み合わせによる計9本の係留システムで係留し、厳しい気象・海象条件においてもシステムの安全性を確保できるよう設計している。

実証機を北九州市沖合へ設置後、計測データによる設計検証や、浮体式風力発電システムの効率的な保守管理方法の技術開発を行い、低コストの浮体式洋上風力発電システムの技術を確立する。


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