2022年1月14日 東工大が東急、阪急と列車内の混雑可視化で協働実験を開始

東京工業大学は、東急電鉄と阪急電鉄と協働して、「列車内の混雑状況の可視化」に関する実証実験を開始する。1月17日から2月28日に東急田園都市線駒沢大学駅(東京都世田谷区)上りホームに混雑解析装置と高速度カメラ各1台を設置。また、1月12日から3月31日にかけて阪急電鉄神戸本線中津駅(大阪市北区)と同十三駅(同淀川区)に混雑解析装置を両駅に各1台、高速度カメラを中津駅に1台、混雑度表示サイネージを十三駅に2台設ける。

 

混雑度を乗車前の人々に随時提供

この実証実験は、東工大環境・社会理工学院の辻本研究室が開発した「列車内の混雑度解析技術」(特許出願中)の精度を検証するもの。列車内の混雑状況を可視化し、乗車前の人々にリアルタイムで提供。混雑度が低い車両への乗車を促し、できるだけ混雑を避けたいという乗客のニーズに応えることを目指している。

混雑度解析技術は、①乗客が持つスマートフォンのブルートゥース信号を、駅に設置した混雑解析装置で取得し、クラウド上のAIで混雑状況を解析。②AIの解析制度を高めるため、駅のホーム上から高速度カメラで撮影・測定した混雑状況なども組み合わせて、AIのチューニングを行う。

ブルートュース信号は電波信号強度(RSSI)のみを測定・記録し、端末の特定につながる情報は含まない。また、ブルートゥース信号を使って解析するため、気象条件に大きく影響されることがなく、安定的かつ精度が高い混雑状況の取得が可能となる。

高感度カメラは顔識別機能を有しておらず、解析後のデータが乗客個人の特定につながる情報は含まれない。さらに、画像データは、東急と東工大、阪急と東工大間のみでそれぞれ取り扱い、第三者がアクセスできない環境の下で、列車内の乗車人数の解析に限定して使用し、解析後は速やかに削除するなど、プライバシーにも配慮している。

 

充実したサービス提供を実現

実証実験に参加する2電鉄会社のうち、東急では現在、スマホ向けアプリ「東急線アプリ」の列車走行位置画面で、リアルタイム情報として混雑状況を配信しているが、応荷重データがリアルタイムで取得可能な一部路線の東急所属となっている。このほかの画面やホームページでは、過去データを分析したものを傾向値として配信している。

実証技術による技術が確立した場合、これまでに対応できていなかった路線や相互直通運転を実施している他社所属車両の混雑状況もリアルタイム情報として配信できることとなる。また、このデータを蓄積することで傾向値を定期的に更新することも可能となる。

リアルタイム情報は、これから列車に乗車する人々の混雑を避けたいというニーズ、また、傾向値は列車が混雑する時間帯や車両を事前に把握したいというニーズの双方にメリットがあり、より充実したサービスが提供できる。

阪神電鉄では、中津駅に設置した混雑解析装置と高速度カメラで、同駅を出発、または通過する列車の混雑度を、十三駅に設けた混雑度表示サイネージで同駅に到達する各車両別の混雑状況を、乗客に案内する。

十三駅に設置した混雑解析装置で得られるデータを、混雑度表示サイネージの設置前後で比較することにより、混雑情報が乗客の行動変容にどの程度結びついたかを分析するとともに、実証実験を通じて、技術の評価を行う。

 

実証実験の概要(リリースより引用)


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