2016年5月12日 東大とドコモ、脈拍管理アプリを開発 不整脈と生活習慣病の関連性の解析を開始

東京大学とNTTドコモはこのたび、不整脈と生活習慣病の関連性を解析する臨床研究をスタートさせると発表した。研究には、両社が開発・公開した脈拍管理スマートフォン向けアプリ「HearTily(ハーティリー)」を使うという。アプリはApp Storeから無料でダウンロードできる。

「HearTily(ハーティリー)」は、Appleが医学研究のデータ収集などを後押しするために設計したオープンソースフレームワーク「ResearchKit」を利用したもの。スマホのカメラを活用して脈を検知し、脈拍を定期的に収集することによって脈の揺らぎを測定できる仕組みになっている。

一般的に初期の不整脈は短時間、それも数日に1回しか症状が現れないため、年に数回受ける健康診断時の心電図では発覚しづらいことが多い。そこで今回の研究では、「HearTily」を提供し、参加者自身に高い頻度で脈拍を測定してもらうことで、その精度を上げたい考えだ。具体的には、日本在住の成人を対象に、1年間継続して1日1回(1分程度)脈拍を記録するほか、1週間から2週間ごとに動悸の有無といった質問に回答してもらう。

さらに、任意ではあるが、Appleのヘルスケアアプリを経由して、歩数などのデータなども記録。計測結果をグラフで示し、脈の揺らぎを確認することができる。

集まったデータは、利用開始時に登録した身長・体重などや、高血圧の有無などとともに、不整脈の発生傾向を分析する情報として使用。そのうえで、不整脈が原因とされる病気の発生予測などに役立てていくという。

 

■ 70万人以上発症の「心室細動」

脳梗塞の患者の約3割は、不整脈の一種である「心室細動」によって心臓の一部に血液が溜まってできる血栓が脳の血管に詰まることが原因とされている。日本では、70万人以上が発症しているといわれているが、症状がわかりにくく、日常生活で見つけることが難しい。実際に、脳梗塞になった患者のうち、事前に心室細動と診断を受けている割合は、5割程度にとどまる。このことから、心房細動をはじめとする不整脈を早期に発見することは、脳梗塞のほかにも、不整脈に起因する病気を予防することにもつながるとしている。


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