2021年5月13日 東大がソフトバンクなどと連携 次世代AI都市シミュレーターの共同研究

東京大学とソフトバンク(株)、小田急電鉄(株)、(株)グリッドの四者は、東大とソフトバンクが行うBeyond AI研究推進機構の研究テーマの一つとして、小田急線海老名駅と周辺施設を対象に、来訪者の行動変容を促す人流誘導アルゴリズムを実装する『次世代AI都市シミュレーター』の研究開発で連携し、研究を開始する。

オンラインでの消費活動の普及や、新型コロナウイルス感染症拡大に伴って生活様式が大きく変化するなか、新たな都市づくりに向けて、スマートシティに関する取り組みが加速している。スマートシティの実現にあたっては、データの可視化や分析だけでなく、データによる予測をもとに、人々に役立つ情報と価値を提供して人々の行動変容を促し、地域全体の最適化と活性化に貢献することが重要。

Beyond AI研究推進機構は、「基礎研究(中長期研究)」と、社会課題へのAI(人工知能)の活用を目的とする「応用研究(ハイサイクル研究)」の二つの領域で研究に取り組んでいる。

今回、応用研究の一つとして、スマートシティに関する研究を行うことを決定。小田急電鉄とグリッドと協力し、小田急線海老名駅と周辺施設の各種データと人流誘導アルゴリズムを組み合わせ、快適で便利な都市づくりと地域活性化への貢献を目指す。一日の乗降客数が10万人を超える小田急線海老名駅と同駅周辺地域を研究の対象とすることで、都市でのAI活用の有用性を、効果的に検証する。

研究では、仮想空間に現実世界を再現するデジタルツインを活用して、デジタル空間上に小田急線海老名駅と周辺エリアを再現し、人流・交通・購買・来訪者の属性などのデータを使って、人々の流れや行動を可視化・予測するシミュレーションを行う。この研究に基づき、実際に、来訪者のスマートフォンアプリへの各種情報の通知やクーポンの発行、施設内のデジタルサイネージでの情報表示などを実施することで、人々の行動変容を促し、混雑緩和と購買促進の両立、交通の最適化、災害時の避難誘導などに関わる技術を開発し、社会実装を目指す。

開発環境の構築は、「リアル(物理)空間にある情報をIoTなどで集め、送信されたデータを元にサイバー(仮想)空間でリアル空間を再現する技術」であるデジタルツインや、この技術を活用した都市の最適化技術を有するグリッドが行う。また、データの処理基盤は、Vantiq,Inc.が提供するイベント・ドリブン型アプリケーション開発プラットフォーム「Vantiq」を使用する。

 

東大は人流誘導アルゴリズム開発

四者がスマートシティに関する知見を生かし、産学連携で研究開発を進める。研究期間は今年4月から来年9月まで。役割分担としては、東大Beyond AI研究推進機構の田中謙司准教授と大学院工学系研究科の坂田一郎教授による先進的な人流誘導の研究の知見を提供するなど、東京大が人流誘導アルゴリズムを開発。

ソフトバンクは『次世代AI都市シミュレーター』全体を設計・開発し、スマートシティ開発の実績など、最先端テクノロジーや事業化に関する知見・ノウハウを提供。小田急電鉄はMaaSの先駆的取組や、職、住、商、学、遊の生活シーンなどに貢献する沿線まちづくりを推進する中で得た豊富な知見を提供する。

グリッドは、社会インフラを中心としたデジタルツインの実現、最適化の実績による知見を生かし、研究開発環境を構築する。

今後の展望としては、地域でのより多様なデータを活用し、人流誘導に加えて、エネルギーや物流の効率化など、環境負荷軽減に貢献する都市づくりの検討を推進する方針。また、今回の研究結果をもとに、実用性・汎用性が高いソリューションの開発を進める。この研究を通して、人と人を結び、地域への来訪者、住民、企業・自治体などの地域に関わる全ての人にとって価値のあるスマートシティの実現を目指す。


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