2021年9月3日 景気は一部で弱さ増す 基調判断は据え置き―8月の月例経済報告

内閣府がまとめた8月の月例経済報告によると、個人消費でサービス支出を中心に弱い動きとなっていることなどから、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している」と企業判断を据え置いた。先行きについては、「感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」としている。

日本経済の動向についてみると、個人消費においては、需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、前月比2.5%増となった。個別の指標について最近の動向をみると、「家計調査」では、実質消費支出は同3.2%減となっている。販売側の統計をみると、「商業販売統計」では、小売業販売額は同3.1%増となった。

設備投資は持ち直しており、需要側統計である「法人企業統計季報」(1~3月期調査、含むソフトウェア)でみると、2021年1~3月期は前期比0.4%減となった。業種別では、製造業は同0.5%増、非製造業は同0.9%減となっている。機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、増加している。ソフトウェア投資は、おおむね横ばいとなっている。

住宅投資は、底堅い動きとなっており、持家の着工は、横ばいとなっている。貸家の着工は、底堅い動きとなっている。分譲住宅の着工は、おおむね横ばいとなっている。総戸数は、6月は前月比1.0%減の年率86.6万戸であった。

公共投資は、高水準で底堅く推移している。6月の公共工事出来高は前月比1.2%増、7月の公共工事請負金額は同11.0%減、6月の公共工事受注額は同4.9%減となった。

輸出は、緩やかな増加が続いている。地域別にみると、アジア向けの輸出はこのところ増勢が鈍化しており、アメリカ向けの輸出はこのところ持ち直しの動きが見られる。EU及びその他地域向けの輸出は、おおむね横ばいとなっている。

輸入は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。地域別にみると、アジア及びアメリカからの輸入は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられ、EUからの輸入は、持ち直しの動きがみられる。

鉱工業生産は、持ち直しており、鉱工業生産指数は、前月比6.5%増となった。

企業収益は、感染症の影響により、非製造業では弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直している。上場企業の2021年4~6月期の決算をみると、経常利益は、製造業、非製造業ともに前年比で増益となった。企業の業況判断は、一部に厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。「日銀短観」(6月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で上昇した。

雇用情勢について、完全失業率は、前月より0.1%ポイント低下し、2.9%となった。雇用者数はこのところ横ばい圏内となっている。


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