2016年12月6日 日本発の新元素、名称決まる 提案どおり「ニホニウム」に決定(理研)

理化学研究所(理研)仁科加速器研究センター超重元素研究グループの森田浩介グループディレクターを中心とする研究グループ(森田グループ)が提案していた113番元素は、グループの提案どおり、元素名は『nihonium(ニホニウム)』、元素記号『Nh』に正式決定した。名称等の決定を受け、松野博一文部科学大臣は、「わが国の基礎研究の水準の高さを世界に示すとともに、国民全体に大きな励みと誇りを与える」と意義をあらためて強調した。

森田グループは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の重イオン線形加速器「RILAC」を用いて、2003年9月から新元素の合成に挑戦してきた。翌2004年7月に初めて原子番号113の元素合成に成功し、その後、2005年4月、2012年8月にも合成に成功している。

さらに昨年12月31日には、森田グループによる113番元素の発見が国際純正・応用化学連合(IUPAC)により認定された。それによって同グループに命名権が与えられ、日本時間11月30日午後5時(米国東部時間午前3時)にIUPACは113番元素の元素名と元素記号を発表、研究グループの提案どおりとした。

 

森田GD「アジア初の元素名」

名称などの正式決定にあたり、グループディレクターの森田九州大大学院理学研究院教授は「我々の提案した元素名『nihonium』、元素記号『Nh』が認められ、正式決定したことを大変うれしく思っております。日本発、アジア初の元素名が人類の知的財産として将来にわたり継承される周期表の一席を占めることになりました。研究グループの代表として大変光栄に思います」と喜びのコメント。

さらに、基礎科学には、発見当時は思いもつかないようなものが、のちに多大な恩恵を人類にもたらした例が数多くあったが、日々の生活や産業に即時に直接的な恩恵を与えることは稀であることを強調。その上で、「このような長期的で地道な基礎科学研究を支援してくださった国民の皆様、そして研究所と関係府省の皆様に改めて感謝いたします」と謝意を示した。

 

松野大臣「大きな励みと誇り」

また、松野博一文部科学大臣は、「森田浩介博士らの研究グループが、日本の国民からの長きにわたる支援と期待への深い感謝の意を込めて提案された「ニホニウム」という名称に決まったことを心から喜ばしく思うと同時に、同研究グループのこれまでの御尽力に改めて敬意を表します」とのコメントを発表した。

さらに、新元素の命名は、欧米以外の国では初となる快挙で、わが国の基礎研究の水準の高さを世界に示すとともに、国民全体に大きな励みと誇りを与えるものと意義を強調。その上で、今後、全世界の教科書の元素周期表に日本発、アジア初の元素名及び元素記号が掲載されることにより、わが国の多くの子供たちが科学に興味を持ち、世界に羽ばたく次世代の研究者が育っていくことへの期待感を表明した。

森田ディレクター率いる研究グループは、理研をはじめ、東京大、埼玉大、新潟大、筑波大、日本原子力研究開発機構、中国科学院近代物理研究所、中国科学院高エネルギー研究所、東北大、東京理科大、新潟大機器分析センター、東京大原子核科学研究センター、大阪大、東北大電子光理学研究センター、山形大から研究者らが参画している。


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