2018年2月16日 日慢協、同時改定を高く評価 アウトカム・在宅連携の重視で総医療費減少を予想

日本慢性期医療協会の武久洋三会長は8日の定例記者会見で、2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定を高く評価する意向を示した。慢性期病棟については、「重症患者の治療なども担う機能を求めることで、社会的入院は認めないという明確なメッセージが感じられる」としている。

会合で武久会長は、高齢者がますます増える中でもアウトカムが良くなれば日常復帰できる患者増えると指摘。その根拠として、2016年度の診療報酬改定後に医療費の増大が懸念されたが、実際には予想されたような増加がなかったことを引き合いに出した。

そのため、今回の診療報酬は0.55%のプラス改定だったものの、アウトカムや在宅連携の重視によって改善する人が増加し、総医療費は減るのではないかと予想。さらに、症状が軽く、要介護度が重い患者に対して、積極的治療を行わずに適切に看取る場合は、新たに整備された「介護医療院」が適切ではないかとした。

一方、介護報酬改定に対しては、低栄養の改善や嚥下・排泄リハ、褥瘡対策などを十分に実施している施設へのアウトカム評価を重視。今後、これらを実践していけば、患者の状態が改善し、結果として医療や介護の必要性が少なくなるのではないかと推測している。

 

■ 医療機関で働く介護福祉士も賃上げ対象に

政府は昨年12月に、消費税率10%引き上げ時の財源から公費1000億円程度を投入して、介護サービス事業所へ10年以上勤続する介護福祉士に、月額8万円相当の処遇改善を行う「新たな政策パッケージ」を閣議決定した。

武久会長は、この件に関連して、医療機関などで働くベテラン介護福祉士も国をあげて評価してほしいと要望。

医療の世界の介護福祉士は、看護助手としてあくまで看護職員のヘルプとしての能力しか評価されていないが、入院患者の約8割が75歳以上になる中、毎日の入院業務において優れた介護のプロである介護福祉士の働きがなければ、入院医療は出来ないと語った。

そのうえで、「介護の世界で介護福祉士は、処遇改善加算などの評価を受けてきた。これからは、医療の世界でも同様に国が支えなければ医療は崩壊する」としている。


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