2016年10月17日 断層が過度に広がる前に標本交替 平成27年度統計法施行状況の審議結果報告書

総務省統計委員会は、統計法第55条第2項の規定に基づく総務省からの昨年度の統計法施行状況の報告を受け、平成26年3月に閣議決定された「公的統計の整備に関する基本的な計画」に盛り込まれた各施策に係る各府省等の取組状況等を審議。このほど審議結果を「平成27年度統計法施行状況に関する審議結果報告書(平成28年度上半期審議分)」として取りまとめた。報告書では、「標本交替時、旧標本によるデータと新標本によるデータをどのように接続すべきか」といった横断的課題に対し、断層抑制のため、断層が過度に広がる前に標本を交替させ、それを前提にそのまま接続することや、ユーザーニーズの強いものに関しては、継続標本による参考値の作成検討を推奨することを方針として示している。

報告書ではまた、26年度から30年度までを計画期間とする第Ⅱ期基本計画の2年目に当たる昨年度に各府省が行った、①経済センサス―活動調査の中間年における事業所母集団情報の整備、②売上高等の集計に関する消費税の取扱い、③第3次産業活動指数の基幹統計化、④建築物リフォーム・リニューアルの把握、⑤学校教育から就業へのライフコースを的確に捉える縦断調査の実施、⑥e‐Statによる情報提供機能の改善について、その進捗状況を確認している。

このうち、経済センサス―活動調査の中間年における事業所母集団情報の整備(担当府省:総務省)では、プロファイリング調査(ヒアリングなどによる継続的な調査)や地域ごとのローリング調査(地域分割して複数年かけて全地域を調査)の導入を評価。

その一方で、インターネット活動中心の企業の捕捉方法の検討が必要としている。また、法人番号活用による母集団情報の精度向上の検討も必要と指摘している。

売上高等の集計に関する消費税の取扱い(総務省)では、税抜き計算を税込み補正して公表するためのガイドライン策定は有意義との評価であった。また、消費税の取扱いに関するガイドライン適用の早期・幅広な推進を求めている。

第3次産業活動指数の基幹統計化(経済産業省)では、現時点で基幹統計化が困難との判断はやむを得ないとの指摘であった。

また、サービス統計整備は政府全体の課題であり、継続的な取組が必要との考えを示している。

建築物リフォーム・リニューアルの把握(国土交通省)では、建築物リフォーム・リニューアル調査を建設総合統計や国民経済計算へ反映する見直しを評価。

その上で、四半期別GDPの2次速報に間に合うよう公表の早期化に努めることが必要と指摘している。

学校教育から就業へのライフコースを的確に捉える縦断調査の実施(文部科学省)では、21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)の調査客体に対し、教育面を含む調査事項を追加して調査を実施することは非常に有意義と評価している。

その上で、調査協力への理解を深めることで、回答者数の維持、回答精度の向上を図ることが重要との見解を示した。

e‐Statによる情報提供機能の改善(総務省)では、ニーズの幅広い把握、機能拡充を期待するとの考えを示した。その一方で、統一形式でデータ利用可能なデータベース化の推進が重要としている。


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