2020年4月28日 教育実習の実施で留意事項示す 文科省、方法・時期など弾力的検討を要請

教員免許状の授与の資格を得させるための教職課程において、重要な位置を占めるのが小学校や中学校などでの教育実習。ところが今年は、中国・武漢で発生した新型コロナウイルス感染症が世界中を席巻するパンデミック現象を引き起こし、わが国においても緊急事態宣言が発出され、大学・専門学校などを含め学校が臨時休業となる中、解除後を見据え、文部科学省では、学生を派遣する大学・専門学校などに対し、教育実習生を受け入れる小学校等や教育委員会などとも連携・協力の上、教育実習の円滑な実施に向けて「責任を持って必要な対応」をとるよう要請している。

今年度の教育実習については、例年、春から夏に実施しているものについても、臨時休業明けは特に例年に比べて学校の業務負担が大きくなることも想定されるため、教育委員会と協議の上、必要に応じて実施時期を秋以降とすることも検討するよう要請している。教育実習生を受け入れる小学校の今年度の受け入れ数が制限される場合には、卒業年次の学生など教育実習を次年度に実施することができない事情のある学生を優先こととしている。

教育実習の授業時間数や実施時期の設定に当たっては、設置基準等において、実習は30時間から45時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもって1単位としていることから、教育実習生を受け入れる小学校等の状況も踏まえ、弾力的に検討する。例えば、最低修得単位数が4単位の場合は120~180時間となり、教育実習の実施期間としては3~4週間程度となる。文科省では、実施期間を変更する場合でも、単位数や履修方法に変更がない限りは、これに伴う教職課程認定上の手続きは必要ないと強調している。

感染症対策に取り組みながら教育活動を行う小学校等においては、通常期と同様な教育実習を行うことが困難な場合もあると考えられる。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が3月9日に示した密閉・密集・密接の3密条件が重ならないようにすることなどに留意し、教育実習の内容や方法などについて、受け入れ先の小学校等と相談しつつ弾力的な検討が求められる。

また、新型コロナウイルス感染症については、日々状況が変化していることから、文科省のホームページなどを通じて関係省庁や自治体などからの最新の情報も十分に踏まえた対応が求められる。実習の期間や内容、方法の検討に当たっては、大学・専門学校等における事前・事後指導等で履修すべき内容と小学校等での教育実習で履修すべき内容や活動の在り方を見直すことも考えられる。

 

学生への事前指導の徹底を

文科省では、学生への事前指導に対しても留意事項などを示している。教育実習の実施の2週間程度前から、毎朝の検温や風邪症状の確認を行うことや、感染リスクの高い場所に行く機会を減らすことなどを学生に徹底させ、実習中は、これに加えて、手洗いや咳エチケットなどの基本的な感染症対策を徹底し、マスクは常時装着することなど一層の感染症対策を行うことを学生に徹底するよう求めている。

さらに、教育実習に参加する前に「新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」などの学校における感染症対策の取組について十分に理解させ、実習中は受入れ先の各小学校等における感染症対策の指示に従うことや、発熱等の風邪症状やその他体調不良が見られる場合には、小学校等と相談の上、児童生徒らとの接触は絶対に避け、自宅で休養することを学生に徹底させる。

学生の感染が判明した場合や、地域の感染拡大の状況などによって、急遽、教育実習を中止せざるを得ない場合などにおいては、大学・専門学校、学生、小学校等・教育委員会が速やかに連絡を取り合うことができるよう、確実に相互連絡体制を構築しておくことが求められる。実習中の状況により、十分に実施できなかった内容があった場合には、事後指導などで補充的な授業を行うことが求められる。


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