2020年1月10日 教員就職率、前年度から微減 国立教員養成大学・学部や教職大学院調査

文部科学省が毎年度行っている調査によると、国立の教員養成大学・学部の昨年3月卒業者の教員就職率は65.7%で、前年度の67.0%から微減となった。また、教職大学院修了者の教員就職率は91.3%で、こちらも前年度の93.7%からわずかに減っていた。公立学校の教員採用者数が増加傾向にある中、教員就職率が伸びていない状況について同省では「改善が必要」との認識を示し、各大学の取組を促していく方針だ。

文科省では、小・中・高校の教員養成を目的とする44大学の国立教員養成大学・学部の教員養成課程卒業者と国私立の53大学の教職大学院修了者を対象として、同年9月末現在の就職状況について、毎年度、調査を行っている。

 

【国立の教員養成大学・学部】

全体の教員就職率は前年度の67.0%から1.3ポイント減少し、65.7%だった。卒業者数は、1万1089人で、前年度に比較して129人増加した。教員就職者数は、6476人で、前年度比19人増加。大学院等への進学者数と保育士への就職者数の合計は、1238人で、前年度比82人減少した。

教員就職率が高いトップ5は、1位が鳴門教育大:82.5%、2位が兵庫教育大:82.3%、3位が上越教育大:80.5%、4位が茨城大:76.7%、5位が高知大:76.6%だった。

 

【国私立の教職大学院】

全体の教員就職率は前年度の93.7%から2.4ポイント減少の91.3%。現職教員学生を除く終了者数は、654人で、前年度比53人増加。現職教員学生を除く修了者数のうち、教員就職者数は597人で、前年度比34人増加。

 

教職大学院は9割超の高水準維持

国立の教員養成大学・学部卒業者については、中期的なトレンドでは、卒業者数が微増傾向にある中、教員就職者数は横ばい、教員就職率は微減している。ただし、正規採用者数は増加しており、臨時的任用者数は減少している。これらの要因は、公立学校教員の大量採用が続いていることや、民間企業等の採用状況が好転していることなどが考えられる。

教職大学院修了者の中期的なトレンドでは、修了者数の増加に応じて、教員就職者数も増加している。また、教員就職率は9割を超える高い水準を維持している。この要因としては、公立学校教員の大量採用が続いていることや、修了者の教職志望が一貫して高い状況にあることなどが考えられる。

 

質向上の指導・助言を続ける

いわゆる団塊の世代の大量退職に伴う自治体の教員採用が増加しているのにもかかわらず、国立の教員養成大学・学部の教員就職率が伸びていない。文科省としては、各大学に対し、1)各地域の教員需要の推移等を踏まえつつ、エビデンスに基づく課題の解決に向けた目標の設定と教育活動の実行に努め、結果を検証・評価し改善するPDCAサイクルを確実に回すこと、2)教員志望の高い学生や教員となることが期待される多様な経験や高い能力を持つ学生の受入等を通じて教員就職率を高めること―などをこれまでも促してきたところであり、引き続き、教員養成の質向上を図るための指導・助言を行う。

また、教員への強い意欲を持つ学生を受け入れるための入試改革や、教育実践力を身に付けるためのカリキュラム改革、教職大学院修了者に対する教育委員会等のインセンティブ付与等について、具体的な成果を挙げた好事例の横展開などを通じ、各大学の取組を促す。

併せて、国立教員養成大学・学部について、令和4年度から令和9年度の第4期中期目標期間の目標策定に向けた各大学との徹底した対話の中で、教育養成の質の高度化等に取り組む。


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