2021年9月14日 平均で約2%の省エネ効果等を確認 環境省ナッジ事業の結果を公表

環境省では、ナッジ(英語nudge:そっと後押しする)やブースト(英語boost:ぐっと後押しする)をはじめとする行動科学の知見を活用してライフスタイルの自発的な変革を創出する新たな政策手法を検証するとともに、産学政官民連携・関係府省等連携のオールジャパンの体制による日本版ナッジ・ユニットBEST(Behavioral Sciences Team)の事務局を務めている。このほど、平成29年度から実施している「低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)による家庭等の自発的対策推進事業」で採択された事業者のうち、事業を終了した事業者の結果を公表するとともに、その結果を用いて海外のナッジ・ユニット等と意見交換を行った。

事業を実施した日本オラクル株式会社と株式会社住環境計画研究所は、北海道ガス株式会社、東北電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、沖縄電力株式会社の5社のエネルギー事業者の協力の下、当該事業者の供給エリア内の約30万世帯を対象に、行動科学の知見に基づく省エネアドバイス等を記載したレポート(ホームエネルギーレポート)を送付して、その後の電気やガスの使用量にどのような効果が表れるかを実証した。

本事業は平成29年度から令和2年度までの4年間実施され、毎月ないし2ヵ月に1回程度の頻度でレポートを2年間送付し、ランダム化比較試験と呼ばれる頑健な効果検証の手法により、レポートを送付していない世帯との比較により統計学的に効果を検証。また、レポートの送付を停止した後1年間の効果の持続性についても検証した。

その結果、レポートの送付により、平均で約2%の省エネ・省CO2効果が統計的に有意に確認されるとともに、レポートの送付停止後も同程度の効果が少なくとも1年間継続することが統計的に有意に確認された。事業を実施した4年間での累積のCO2削減量は4万7千トンに及び、効果の持続により今後累積で11万1千トンのCO2排出が削減されることが推計されている。この今後の累積削減効果については、事業を実施した事業者の試算では、4万1千世帯の年間CO2排出量に相当するとともに、13万5千台の冷蔵庫買替効果に相当するとされている。

事業の結果の特筆すべき点としては、国内最大規模での実証により、実証期間中に家庭でのCO2排出量を実際に大幅に削減したことに加え、一般にナッジの効果は持続しにくいとも言われる中で、世帯毎に最適化された働きかけにより、ナッジを実施している期間はもとより、ナッジを中断した後も少なくとも1年間にわたり効果が持続することを明らかにしたことが外部有識者等により挙げられている。

この結果を含む、我が国の行動科学を活用した取組については、8月31日に開催された第8回気候変動・省エネルギー行動会議BECC JAPAN 2021の最終パネルディスカッション「世界のナッジユニット」においてイギリスやアイルランドのナッジ・ユニット等と共有し、今後も継続して意見交換をしていくことなどについて議論した。


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