2020年5月27日 山形大と芸工大が連携活動で覚書 「山形グローバルブランディング事業」を提案

山形大学(玉手英利学長)と、東北芸術工科大学(中山ダイスケ学長)は、山形県内地域活性化に向けた連携活動に関する覚書をこのほど締結した。最初の共同事業として、平時を迎えたのち、国内外の旅行者が真っ先に訪れたい土地が山形だ、と人々に山形をブランディングしていく「山形グローバルブランディング事業」を提案している。

今後、地域や企業が発展していくためには、現状のアップデートではなく、新たな価値創造(イノベーション)を生み出していく必要がある。今の時代に新しい前例のないものを考えるためには、「ビジネス」「テクノロジー」「クリエイティブ」の分業ではなく、3つの要素を有機的に連動させて事業を構想していくことが求められている。

例えば、マッキンゼーやアクセンチュアといったコンサルティングファームは従来、戦略、組織、マーケティングと、「ビジネス」の領域に特化していた。しかし、インターネット以降、戦略がよくてもIT・システムの設計や実装の質が低いとうまくいかないことが増えて、ITコンサルティングの比重が高まった。「ビジネス」と「テクノロジー」の結合だ。

そしてその後、「クリエイティブ」抜きではユーザーに支持される製品・サービスがつくれないことから、コンサルティングファームがデザインファームを買収して不足部分を補うのが世界的なトレンドになった。

山形大と芸工大が国立・私立大学の垣根を超えて協働するのは、こうした時代の変化に対応し、単体ではできない人材のキャスティングにより、「ビジネス」「テクノロジー」「クリエイティブ」の3要素を実装することが可能になるから。

具体的な活動として―①地元企業活動のビジネス、テクノロジー、クリエイティブによるイノベーション支援での連携、②山形大において実績のある起業家教育と山形におけるクリエイティブ産業の育成での連携、③事業創出による若者の地元定着での連携、④コロナウイルス感染症の影響が大きい、山形の観光産業を支援するため、山形の魅力あるモノ・コト、企業活動などを発掘し、磨き、高品質なコンテンツとして県外、世界に発信し、地域経済を活性する「グローバルブランディング事業」の立案・実行での連携―について協議をしている。

 

世界に発信し地域経済を活性化

例えば、インバウンド事業であれば、精神的なものに関心の高い欧米の若者をマーケティングした映像コンテンツを発信し、山岳信仰や奇習などを活かした「精神文化ツーリズム」を確立する。あるいは、山形の伝統工芸品と職人、製造業の熟練工のストーリーをコンテンツとして発信し、その職人に弟子入りする長期滞在型体験ツーリズムやインターンシップなどを各地域が商品化する。

言わば「地域が稼ぐ新しい観光資源、企業活動=価値」を創造していく事業。クラフト、食、カルチャー、テクノロジーなどの高品質コンテンツが、ある一定数蓄積された時点で、「なぜ山形からいいモノ(コト)がうまれるのか」の説明が始まり、「〇〇の山形」という山形のグローバルブランディング戦略をスタートさせる。

情報の発信・流通戦略では、映像コンテンツを主軸とする。トヨタ・レクサス、伊勢神宮などのグローバルブランディングを手がけた山形大招聘講師のマンジョット・ベティ氏と芸工大が共同で高品質映像作品を制作し、芸工大がプロモーション戦略を立案・実行する。

山形大と芸工大では、「いまだ、先行きが見えない状況です。しかし、外出できない人々もインターネットを介して映像コンテンツを見ることはできます。日常が世界に訪れるのを願い、そのときのために準備をし、疲弊した地域経済を盛り返していくために、山形の魅力を掘り下げたいと思います」と意欲を示している。


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