2020年1月30日 学校安全計画などの見直しを要請 文科省、家庭や地域・関係機関との連携で

文部科学省は、全国の都道府県・指定都市市区町村教育委員会や国公私立大学などに対して、自然災害対応における児童生徒らの安全確保に向け、自然災害に対する学校防災体制の強化及び実践的な防災教育の推進を要請している。

地球温暖化の影響を指摘する意見もある中、わが国でも気象災害、地震災害、火山災害などさまざまな自然災害が発生しており、今後も気象災害の激甚化や南海トラフ巨大地震といった大規模な災害が懸念されている。児童生徒らの命を守り抜くには、これまで以上の学校防災体制の構築や実践的な防災教育の推進が必要だ。

また、東日本大震災の津波被害に係る宮城県・大川小学校事故訴訟に関して、昨年10月の最高裁判決において上告が棄却され、校長らや教育委員会に過失があったとして自治体に損害賠償を命じた控訴審の判決内容が確定したのも記憶に新しい。

こうしたことを踏まえ、文科省では、これまでの学校防災体制及び防災教育が適切であったかを振り返り、点検し、次の対策につなげていくという観点から、学校安全計画や危機管理マニュアル、学校、家庭、地域、関係機関等との連携・協働の体制等について見直しを要請している。

学校安全計画は、各学校での策定が義務付けられている。年間を通じた取組で得られた成果・課題を踏まえて定期的な見直しが必要。見直しに当たっては文科省の学校安全資料「〝生きる力〟をはぐくむ学校での安全教育」を参考にするよう求めている。

防災を含む安全教育については、児童生徒らが安全に関する資質・能力を教科など横断的な視点で確実に育むことができるよう自助・共助・公助の視点を適切に取り入れながら、地域の特性や児童生徒らの実情に応じて、各教科の安全に関する内容のつながりを整理し教育課程を編成することが重要。その際、学校においては、「カリキュラム・マネジメント」の確立を通じた系統的・体系的な安全教育を推進することが求められている。

また、学校は日常生活において、危険な状況を適切に判断し、回避するために最善を尽くそうとする「主体的に行動する態度」を育成するとともに、危険に際して自らの命を守り抜くための「自助」、自らが進んで安全で安心な社会づくりに参加し、貢献できる力を身に付ける「共助・公助」の視点から防災教育の推進が求められる。

さらに、防災教育の効果を高めるためには危険予測の演習、視聴覚教材や資料の活用、地域や校内の安全マップづくり、学外の専門家による指導、避難訓練や応急手当のような実習など、さまざまな手法を適宜取り入れ、児童生徒らが安全上の課題について、自ら考え主体的な行動につながるような工夫が必要。加えて、保護者参観日に防災の学習を行ったり、地域の避難訓練に児童生徒らが積極的に関わったりするなど、学校と家庭や地域が連携した防災教育を実施することも重要だ。

 

危機管理マニュアルの見直しも

学校に作成が義務付けられている危機管理マニュアルについても文科省は、防災避難訓練などを実施した際の反省・課題や地域住民、関係機関の専門家の助言などを踏まえて適時見直しを行うよう求めている。

作成・見直しに当たっては、1)学校における危険発生時の役割分担が明確になっているか、2)学校の立地地形や地質などの自然環境や社会的条件から危険を明確にし、危険発生時に対応できるものとなっているか、3)過去の災害やハザードマップなどの想定を超える危険性をはらんでいる自然災害に備え、複数の避難場所や避難経路の設定をしているか、4)事前・発生時・事後の三段階の危機管理を想定し、各段階において取るべき対応をあらかじめ整理し、教職員が迅速・的確な判断で対応できるものとなっているか、5)安全教育・安全管理のいずれか一方のみでは児童生徒らの安全確保の実現は難しいことから、安全教育と安全管理の一体的な活動が展開できる内容になっているか―といったポイントに留意するよう要請している。


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