2018年7月20日 多言語対応システムの実証実験を開始 アプリ開発中の上智大が聖マリアンナ医大病院で

医療・看護・福祉・介護分野に特化したタブレットアプリ「SoCHAS」(ソーカス)の開発を進めている上智大学理工学部情報理工学科の高岡詠子教授らは、今月から聖マリアンナ医科大学東横病院で実証実験を開始した。

「ソーカス」は、2015年から開発中の医療用多言語対応情報提供システム。これまで上智大保健センターにおいて、留学生を対象に1年余りにわたって保健センターバージョンの実証実験を行ってきたが、今後の実用化を目指し、実際の病院でどの程度役に立つのか、また、より機能的にするための実用からの見地を得るために実証実験に取り組むこととした。

髙橋教授らは、実験後、ソーカスアプリの機能に不足している点、不要な点、アプリで解決できかなったこと、利点などのフィードバックを受けた上でアプリの改良を行い、2020年ヘの展開に備えたい意向だ。

 

  医療機関でのコミュニケーション 訪日外国人旅行者を支援

来る東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、訪日外国人旅行者の受入れのための環境整備が急ピッチで進められている。

ソーカスは、訪日旅行者が医療機関を受診した際に生じるコミュニケーション問題を解決するためのツールとして開発されたタブレットアプリ。医師、看護師、介護福祉士など医療、福祉従事者と日本語を母語としない人々とのコミュニケーションを支援する。

実証実験では、来院した外国人に対し、「どこが具合が悪いですか?」「どのような症状ですか?」といった項目から始まり、総合受付での自動問診、診察室の2方面で日本語を母語としない受診者を対象に実施する。

診療科選択から、医療機関での受付、問診、受診、会計、投薬という一連の流れで想定し得るコミュニケーションを洗い出し、医師の監修のもと約2万文例に取りまとめ、さらに5万語を収録した単語帳も有している。

タブレット端末にアプリをインストールする形式で、問診票も多岐にわたるコミュニケーションが対話形式で展開される。

例えば「痛み」でも、部位ごとの微妙な差異まで表現し、より的確な診療、処方への橋渡しを試みる。ソーカスは、翻訳のためのツールだが、機械翻訳ではない。あらかじめ想定されるコミュニケーションのシーンを用意し、状況に応じてユーザーがその中から選択していく。


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