2020年8月7日 夏山登山の事故防止を 「警告文」やコロナ対応も呼びかけ

長引いた梅雨もようやく明け、夏山登山のシーズンがやってきた。同時に懸念されるのが遭難事故。山岳遭難対策中央協議会は、「夏山登山の警告文」を発出し、夏山を楽しむために道迷い、転倒、体調管理に要注意などと呼びかけている。また、新型コロナウイルス感染拡大防止については、公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会が「登山再開に向けてのガイドライン」を作成し、留意を要請している。

登山における遭難事故は天候に関する不適切な判断、不十分な装備、体力的に無理な計画の立案などに起因することが多いことから、リスク管理の観点から事故防止を図るための万全の措置を行うことが求められる。また、火山には、噴気や火山ガスが発生している危険な場所があることから、登る山が火山の場合には、気象庁や都道府県が発表している最新の情報を入手し、十分に注意する必要がある。

 

遭難登山者の7~8割は中高年

例年、登山者が増加する夏山シーズンには遭難事故も増加する。とりわけ、遭難者に占める中高年登山者の割合は7~8割と高く、道迷い、転・滑落、転倒などの事故が多発している。

道迷いの背景には、登山コースの事前学習不足や地図とコンパスの不携帯、地図読みスキルの不足などの原因があるという。転倒事故では、「つまづき」や「スリップ」といった些細なミスが原因となって、骨折などの重傷を負うケースが目立っている。山の中で大きな怪我をしてしまうと自力での下山は難しくなる。山岳遭難協では「最後まで笑顔で登山を続けるために、一歩一歩慎重に歩きましょう」と呼びかけている。

また、夏山の天気は午後から崩れやすい傾向にあるので、「早発ち、早着き」が基本。夕立が降る前に目的地に着いて、ゆっくり体を休めながら翌日のルートを再確認するような行動が求められる。余裕のある行動が夏山の楽しさと安全性を倍増させる。

夏山登山が良い思い出となるように山岳遭難協では、

〇道に迷わないように登山地図アプリを活用しよう
自分がどこにいるかわからなくなったら地図もコンパスも役立たない。現在地を知るためにスマホ用の登山地図アプリの活用を。
〇入念な登山計画を立てよう
登山は計画する段階から始まっている。山岳情報や気象情報、火山情報といった」対象山域の最新情報を入手し、入山中に考えられるリスク回避の対策を前もって立てる。
〇次の一歩に集中しよう
登山ではたった一歩の踏み間違いで大怪我をすることがある。慎重に歩いて自分の足で帰ろう。
〇水分をたくさんとろう
リュックを軽くするために飲み物を減らすのは絶対にやめよう。水分不足は熱中症や高山病のリスクを高める。水分補給の目安の式は、「必要な水分量=体重×行動時間×5」。
〇常備薬を持とう
登山は身体に大きな負担がかかる。体力の消耗だけでなく、標高の高さによる低酸素や流した汗による脱水、テントや山小屋生活でのストレスなど、目に見えない負荷がかかっている。常用している薬がある人は必ず持参を。
〇ヘルメットを着用しよう
転・滑落や落石の危険がある場所ではヘルメットを着用しよう。毎年、「ヘルメットさえかぶっていれば…」という悲しい遭難事故が起こっている―

と留意を求めている。

 

アルコール消毒液の持参を

山岳・スポーツクライミング協会のガイドラインは、同協会の登山医科学委員会が医学的な観点から作成したもので、「長期間の登山自粛により予想以上に体力が低下しているかもしない。歩行時間の短いハイキング、里山の登山など負担の少ない活動から始め、自分の体力を確認するようにしよう」「自家用車内は〝3密〟になりやすいので登山仲間との乗り合いは最小限にしよう」「できるだけ、マスクを着用したまま行動できるレベルの登山を心がけよう」「山では石鹸による手洗いが難しいためアルコール消毒液を持参し共用部分に触れた後などに使用しよう」などと呼びかけている。


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