2017年6月21日 国立情報研が地方創生に貢献 福井県鯖江市と包括連携協力協定を締結

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所(NII)は、福井県鯖江市と連携協力の推進に関する協定を締結した。NIIが地方自治体と包括的な連携協力の協定を結ぶのは今回が初めて。

研究成果をはじめとする知的資産や人材を活用して、自然や歴史、伝統、文化、産業などの特色を生かした鯖江市の発展に協力する。NIIはこうした連携・協力を通じて、情報学を生かした地方創生の推進に取り組んでいく。

情報学という新しい学術分野での「未来価値創成」を使命とするNIIは、長期的な視点に立つ基礎研究とともに、社会課題の解決を目指した実践的な研究を推進している。

また、人材育成や社会貢献などに努めるとともに、さまざまな社会活動との連携・協力を重視した運営を行っている。今回の協定は、豊かな地域の未来を創造するため、まちづくり、産業、文化、教育、学術などの分野で鯖江市に協力し、地域社会への貢献と人材育成に寄与することを目的としている。

NIIはこれまでも、情報学分野で鯖江市の取り組みを支援してきた。鯖江市が平成22年(2010年)に始めた行政情報をオープンデータ化する施策に対して、コンテンツ科学研究系の大向一輝准教授らが治験を提供したのをはじめ、平成27年(2015年)には、NII情報社会相関研究系の越前 功教授の研究室が研究開発した、カメラによる顔検出を不能にして着用者のプライバシーを守る眼鏡型装着具「プライバシーバイザー」を、同市の企業が商品化した。

これは産官学連携の取り組みで、製作費の一部を鯖江市が運営するクラウドファンディング「FAAVO(ファーボ)さばえ」を活用して調達した。昨年6月には鯖江市の要請を受け、越前教授が同市内の2小学校でワークショップを行った。

NIIと鯖江市の調印式は6月5日午後から同市役所で行われ、NIIからコンテンツ科学研究系教授の相澤彰子副所長、鯖江市からは牧野百男市長が出席した。

協定書調印後は、NII客員・名誉教授の曽根原 登氏が、具体的な取り組みにつながる研究の一例として、Wi‐Fiアクセスポイントのデータから解析した人の流れやweb上の宿泊施設の予約状況、自治体オープンデータなどを連携し、観光分野などでエビデンス(科学的根拠)に基づく合理的な政策決定・意思決定を支援するシステム「ソーシャルビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」について説明した。

《鯖江市》 福井県のほぼ中央に位置し、北は福井市、南は越前市に隣接。東西約19.2キロメートル、南北約8.3キロメートルで面積は84.59平方キロメートル。人口は平成27年8月現在約6万9千人。

主な地場産業は眼鏡フレーム、漆器、繊維。このうち眼鏡フレームは隣接地域を含めた市域で国内生産の約9割を占めている。平成24年にインターネットやSNSなどで積極的に情報を公開していく「情報都市宣言」を行い、オープンデータ化を推進する「データシティ鯖江」などの施策に取り組んでいる。


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