2016年6月13日 国立アイヌ民族博物館展示計画 平成32年度開館へ今年度から施設・展示設計に着手

文化庁は、アイヌ文化の全体像を示す博物館の展示の基本的な考え方、対象とする地域、特色、形態、環境などについて、国立アイヌ民族博物館展示計画として取りまとめた。

展示計画は、「国立のアイヌ文化博物館(仮称)基本計画」において定めた展示に関する方針等について、さらに検討を深め具体化するために設置した「国立のアイヌ文化博物館(仮称)展示検討委員会」により取りまとめられ、提出された「国立のアイヌ文化博物館(仮称)展示計画報告書」を踏まえたもの。

展示の基本的な考え方として、「国内外の多様な人々に、アイヌ民族の歴史や文化を正しく学び、正しく理解する機会を提供するために、アイヌの歴史・文化等を総合的・一体的に展示する」ことを掲げている。

 

旧石器時代から現代まで多面的に、子供向け体験手法も

展示の対象とする地域は、アイヌ民族が居住してきた北海道、サハリン(樺太)、千島、本州東北地方を中心に、周辺諸地域との関わりの中で醸成されてきたことに留意した展示を行う。対象とする時代は、旧石器時代から現代までの広範囲に及び、周辺の人々との交流を含めた広がりの中で多面的に取り上げる。

展示に当たっては、最新の情報を公開できるよう可変的な展示形態や展示システムとし、館内の解説パネルやサインには、アイヌ語、日本語、英語のほか必要に応じて多言語に対応する。また、ユニバーサルデザインに配慮し、あらゆる人に開かれた展示環境を実現し、国内外の博物館とのネットワークをいかした展示会などの企画・実施を目指す。

基本展示室を中心に、テーマ展示室、シアター、特別展示室を設ける予定で、民族共生をテーマに、来館者自身が世界の諸民族を考える場とする。特に基本展示では、アイヌ文化の基本的な事象を伝え、「私たちの~」という切り口の6テーマと導入展示、子供向け展示で構成する。

 

アイヌの信仰、くらし、ことば、カムイの世界、文学などを展示

アイヌ文化の基本的な事象については、「私たち(アイヌ)の」信仰、くらし、しごと、交流、ことば、歴史を取り上げる。具体的には、カムイ(神)のくらす世界、装い、受け継がれる食文化、江戸後期から明治、大正、昭和、平成それぞれの仕事、海外の先住民族との交流、アイヌ語の基礎、地名、口承文芸、文学、歴史の広がりとつながり、遺跡、アイヌとシサム(和人)などの項目展示を行う。

子供向け展示では、幼児や小学校低学年を主な対象として、体験型の手法を多用する方針だ。

展示室は、天井高を6~7メートル程度を確保し、展示更新が容易な環境とする。照明や外光は資料に影響を与えない保存環境やメンテナンス性を考慮する。空調については展示資料に影響を与えない最適な温度や湿度を維持する。

今後、今年度から来年度にかけて施設設計及び展示設計を行い、29年度から31年度まで施設建設工事及び展示工事を実施する。平成32年度には開館の予定。


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