2017年12月22日 営業・販売戦略などへの活用に期待 原料原産地表示の取り扱いに関する調査

日本政策金融公庫は今年7月、「平成29年上半期食品産業動向調査」を実施したが、その中で食品製造業者1695社を対象に原料原産地表示の取り扱いに関する調査を実施した。その結果、食品製造業者の87.6%が原料原産地表示を「実施済み」または「実施予定」であることがわかった。また、食品製造業者の46.6%が原料原産地表示を商品PRなどの営業・販売戦略に活用できると考えていることが明らかになった。

 

食品製造業者の約9割が原料原産地表示を実施する意向

調査結果によると、原料原産地表示の実施状況についての設問では、50.5%の企業が「既に実施している」と回答した。また、14.5%が「現在対応中である」、22.6%が「実施していないが、今後実施予定である」と回答しており、これらを合わせた87.6%の食品製造業者が原料原産地表示を「実施済み」または「実施予定」であることが分かった。

売上高階層別にみると、売上高が小さい階層ほど既に原料原産地表示を実施している割合が大きくなる傾向にある。

また、「現在対応中である」、「実施していないが今後実施予定である」と回答した食品製造業者555社に対し、検討している表示方法を聞いたところ、「国別重量順表示を行う」との回答が61.3%で最も大きな割合を占め、次いで「産地を切替える可能性があるため、可能性表示を行う」が28・8%、「輸入国が3ヵ国以上のため、大括り表示を行う」が9.9%を占めており、約6割が原則的な国別重量順表示を検討していることが分かった。

売上高階層別では、売上高が小さい階層ほど国別重量順表示を、売上高が大きい階層ほど可能性表示を検討している割合が大きくなる傾向がうかがえる。

 

課題はパッケージ変更等への対応 原料原産地の変更の際の対応

原料原産地表示を「実施していないが、今後実施予定である」、「実施しておらず、今後も実施する予定はない」と回答した497社に対し、原料原産地表示を実施するうえでの課題を調査した結果、「商品パッケージの変更(デザインやレイアウト等)」が40.6%、次いで「原料原産地が変わる場合の速やかな対応」が30.2%となり、原料原産地表示を実施するうえで商品包装の変更などへの対応が課題であることがうかがえる結果となった。

また、売上高階層別に結果をみると、売上高が5億円未満の階層では5割以上が商品パッケージの変更が課題であると回答している。

 

5割近くが原料原産地表示を営業・販売戦略に活かせると回答

「原料原産地表示を営業・販売戦略に活かせるか」との設問では、46.6%の企業が「大いに活かせる」または「活かせる」と回答しており、5割近くの食品製造業者が原料原産地表示を営業・販売戦略に活用できると考えていることが分かった。

売上高階層別にみると、売上高が小さい階層ほど原料原産地表示を営業・販売戦略に活用できると回答している割合が多くなっている。

また、原料原産地表示を営業・販売戦略に「大いに活かせる」、「活かせる」と回答した743社を対象に、原料原産地表示の活用方法を調査したところ、「商品PR」と回答した割合が60・8%と最も多く、次いで「競合他社商品との差別化」が57.3%となった。原料原産地表示により製品の由来を消費者に伝えることで、営業・販売への有効活用を考えていることがうかがえる。

一方、「あまり活かせない」、「活かせない」と回答した493社に対してその理由を聞いたところ、「効果が期待できない」との回答割合が43.6%で、次いで「営業販売戦略との関連性が乏しい」が43.0%、「表示のためのコストが増加するだけ」が39・8%、「表示のための工程が増加するだけ」が26.8%で続いている。


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