2021年11月19日 商慣習見直し進める事業者が大幅増 食品ロス削減などの取組事業者と内容を公表

農林水産省は、「全国一斉商慣習見直しの日」である10月30日に合わせ、商慣習見直しに取り組む事業者を調査・募集するとともに、今年度からの新たな取組として、商慣習の見直しを含めた食品ロス削減や食品リサイクルの取組事例の募集を行った。今回、集まった事業者名と取組内容がとりまとめられ公表された。

農林水産省では、全国各地域でできる限り多くの事業者が商慣習見直しに取り組むため、今年10月30日の食品ロス削減の日を「全国一斉商慣習見直しの日」とし、推奨3品目(飲料、賞味期限180日以上の菓子、カップ麺)やその他加工食品について、食品小売業者における納品期限の緩和と食品製造業者における賞味期限表示の大括り化(年月表示、日まとめ表示)を呼び掛けてきた。

さらに、食品廃棄の削減についてより多くの人に知ってもらい、理解や協力してもらえるよう、今年度より新たに商慣習見直しに取り組む各事業者の食品ロス削減や食品リサイクルの取組の募集を行った。

今回、その結果として、商慣習見直しに取り組む事業者をとりまとめ、その事業者名と取組事例を公表した。

また、推奨3品目については、農林水産省が補助事業で設置している製造業・卸売業・小売業の話し合いの場となる「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」において、有識者を交えた検討会や実証実験を実施し、その結果を基に、納品期限を緩和しても小売店舗で廃棄増加等のリスクが少ない品目としてあげられたものである。

 

納品期限の緩和の取組状況

サプライチェーンでは、賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例、いわゆる「3分の1ルール」がある。このルールのもとでは、賞味期間の3分の1以内で納品できなかったものは、賞味期限まで多くの日数を残すにも関わらず、行き場がなくなり廃棄となる可能性がある。このため、厳しい納品期限を緩和することは食品ロスの削減につながると期待されている。

今回、今年10月末までに取組事業者をとりまとめた結果、納品期限を緩和(または予定)している小売事業者は、食品スーパーなどで昨年度から44増加し、186事業者となった(昨年10月時点の取組状況は142事業者)。

 

賞味期限表示の大括り化の取組状況

多くの商品の賞味期限は年月日で表示されている。一方で、小売業者の在庫商品よりも賞味期限が前であることが理由で、納品できなかった商品は廃棄の可能性が高まる。このため、賞味期限を年月のみまたは日まとめ(例:年月日表示の、日を10日単位で統一)にするなど大括り化して表示することにより、在庫商品と納品する商品の賞味期限の差が解消され、食品ロスの削減につながることが期待される。

今回、今年10月末までに取組事業者をとりまとめた結果、賞味期限表示の大括り化に取り組む製造業者は、昨年度から67増加し、223事業者となった(昨年10月時点の取組状況は156事業者)。

 

その他の取組事例

今回の募集では、賞味期限が短い商品を製造する事業者や、賞味期限を経過し、または賞味期限までの期間が短い商品を中心に販売している事業者等、納品期限緩和や賞味期限表示の大括り化に取り組むことは難しい事業者からも、食品ロス削減・リサイクルにつながる事例の応募があった。

シーフォー株式会社では、企業や自治体で発生した期限切れ、期限切迫商品を買取・引取りし、個人や団体へ販売・寄付している。期限切れ・切迫商品をメインに扱うことで食品ロス削減を進めている。

敷島製パン株式会社では、従来は切り落としていた「端生地」のロスをなくすため、「ミルケーク」を開発するなど、発売前に生地ロスを減らし、品質を安定化する取組を行った。また、流通や消費段階における食品ロス低減のため、消費・賞味期限を延長する取組を行っている。2020年10月には「満たされスイーツ」シリーズ、11月には「麦のめぐみ全粒粉入り食パン」の消費期限、2021年5月には「国産小麦のワッフル」の賞味期限を延長した。今後も品質を担保したうえで期限延長の取組を継続していく考えだ。

株式会社ビューティフルスマイルでは、食べるのに何ら問題がないにもかかわらず行き場を失ってしまった「もったいない」食品を最後まで美味しく楽しく食べる機会を作るため、通販サイトや百貨店イベントなどを通じて消費者へ届けている。食品ロスとなってしまった理由や日本の商慣習の現状などを詳しく伝え、消費者の関心や理解を深める取組を行っている。


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