2018年1月17日 和食の歴史や伊勢物語など大量公開 大学共同利用機関法人が古典籍データセットを拡充

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構の国立情報学研究所とデータサイエンス共同利用基盤施設人文学オープンデータ共同利用センターは、大学共同利用機関法人人間文化研究機構国文学研究資料館と協働で、日本古典籍データセットの規模を2倍以上に拡充して公開を始めた。和食の歴史に関する資料が飛躍的に充実し、伊勢物語の一大コレクションの一部が公開された。また、江戸時代の大名や幕府役人の氏名や石高などを記した「武鑑」も公開された。古典籍データセットの拡充は、情報・システム機構と人間文化研究機構が昨年7月に連携・協力協定を締結したことで実現した。

今回新たに公開された伊勢物語の一コマ(国文研:鉄心斎文庫)

人文学の膨大かつ貴重な歴史的資料のデータ化、解析、利活用の実現に取り組めるようになったもので、古典籍データセットのオープンデータはこれまで701点、15万8553コマが公開されていたが、今回これを1767点、32万9702コマへと大幅に増加した。

情報研と国文研は、これまで江戸時代の料理本に書かれた料理手順をオープンデータ化した「江戸料理レシピデータセット」を公開している。今回は国文研が撮影した味の素食の文化センター所蔵の料理本282点を一挙公開し、和食の歴史に関する資料がさらに充実する。

また、国文研には、故芦澤新二、美佐子夫妻が40年の歳月をかけて収集した伊勢物語の一大コレクション「鉄心斎文庫」の約千点が収蔵されている。今回はこのうち125点を公開し、今後も継続して同コレクション収蔵資料の画像を公開していくという。

「武鑑」は従来8点のみ公開されてきた。今回の公開で一挙に373点を新たに加えて合計381点となる。情報・システム機構では、江戸時代のベストセラーである「武鑑」を網羅的に解析することで、江戸時代の大名家や幕府役人に関する人物・地理情報などの中核的情報プラットフォームを構築するプロジェクトの一環として、「武鑑全集」を公開している。今後もこの381点の網羅的な分析を進めていくことで、江戸時代の大名家や幕府役人に関する新しい知識が得られることが期待できる。

さらに、絵本太閤記などの絵入読本をはじめ、絵本通宝志や絵本磯馴松、吉原青楼年中行事といった絵本類、祐信風俗画譜や北斎画鑑などの画譜も公開した。美術館で絵を鑑賞するように、古典籍に描かれた絵を楽しむことができる。

一方、標準的な画像アクセス方法として、国際的に普及しつつあるIIIFに準拠した画像ビューアーについては、お気に入りの画像を収集して自分のコレクションとして公開するキュレーション機能を拡張した。この機能を使って古典籍の絵本などから人物の顔貌を収集すれば、美術史研究などに有用な画像集を作ることもできる。すでに一部の日本美術史研究に利用されており、今後は世界的な美術史研究への適用を進めていく予定だ。


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