2018年8月22日 北海道・北東北の縄文遺跡群を選定 文化審議会が今年度の世界文化遺産の推薦物件に

文化庁の文化審議会世界文化遺産部会において、北海道から青森県、秋田県、岩手県にまたがる「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産一覧表への記載に向けて平成30年度に推薦する世界文化遺産の候補物件として選定された。

「北海道・北東北の縄文遺跡群」と新潟県佐渡島の「金を中心とする佐渡鉱山の遺跡群」の2件について審査していたもの。

選定された北海道・北東北の縄文遺跡群は、東北アジアの多様な地理的・自然的環境において、狩猟・採集・漁労を基盤に1万年以上前から定住が開始、発展、成熟し、長期間継続した先史文化の生活や祭祀・儀礼のあり方を示す17の考古学的遺跡からなる遺産。

北海道の入江(いりえ)貝塚、大船(おおふね)遺跡、垣ノ島(かきのしま)遺跡、キウス周堤(しゅうてい)墓群、北黄金(きたこがね)貝塚、高砂(たかさご)貝塚。青森県の大平山元(おおだいやまもと)遺跡、大森勝山(おおもりかつやま)遺跡、亀ヶ岡(かめがおか)石器時代遺跡、小牧野(こまきの)遺跡、是川(これかわ)石器時代遺跡、三内丸山(さんないまるやま)遺跡、田小屋野(たごやの)貝塚、二ツ森(ふたつもり)貝塚。岩手県の御所野(ごしょの)遺跡。秋田県の伊勢堂岱(いせどうたい)遺跡、大湯(おおゆ)環状列石で構成している。

選定理由として文化審議会世界文化遺産部会では、今年度の選定候補となっている2件について「いまだ課題が残り推薦書の提出までにさらなる充実を図る必要があると考えるが、文化審議会としては、昨年度と同様に、推薦後の審査・評価次第では、その指摘に応じて推薦内容を抜本的に見直すことも視野に入れて、推薦物件を選定するということも有力な選択肢であると判断する」と指摘。

その上で、北海道・北東北の縄文遺跡群について、「世界文化遺産推薦書の準備状況を判断する際の観点」(平成29年4月24日文化審議会世界文化遺産部会決定)に照らして検討した結果、「顕著な普遍的価値が認められ得ると考えられ、かつ推薦内容の検討状況が現時点で相対的に進んでおり、また推薦後の審査・評価を推薦内容の見直しに反映させる余地が大きいと考えられる」と分析している。

また、今年度の推薦候補としては選定を見送ることとした「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」については、「昨年度からの進捗が見られ、今後、関係自治体が推進書案の準備をさらに進めていくことにより、北海道・北東北の縄文遺跡群に次ぐ案件として、有力な推薦候補案件となり得る」との考えを示している。

世界文化遺産部会が取りまとめた「世界文化遺産推薦書の準備状況を判断する際の観点」では、「国内的な価値にとどまらない世界文化遺産としての顕著な普遍的価値(OUV)が説得力をもって示されているか」「世界的・地域的・国内的観点からOUVに照らした比較研究が行われており、それによってOUVの妥当性が担保されているか。また、同種の資産との比較研究により、構成資産選択の妥当性が担保されているか」など9項目にわたる基準が提示されている。


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