2016年5月26日 力を感じる医療・介護ロボット KASTの新規プロジェクトがスタート

科学技術活動を展開し、産学公連携の取り組みを通じて、神奈川経済の活性化と生活の質の向上への貢献を目指す公益財団法人神奈川科学技術アカデミー(KAST)は、研究成果の技術移転を担い、短期間で実用化に結びつけることを目的とした「力を感じる医療・福祉介護次世代ロボット」プロジェクトをスタートさせた。

超高齢社会を迎えるわが国では手術支援ロボットやリハビリテーションロボットなど、医療・福祉介護ロボットの期待が高まっている。しかし、既存の医療・福祉ロボットは、人体を含む対象との柔らかい接触動作を実現することが困難なため、適用可能な範囲が限定されているのが現状。

4年間、年間8000万円規模の介護次世代ロボットプロジェクトでは、戦略的研究シーズ育成事業で得た力触覚伝達に適した駆動装置技術(アクチュエータ)に関する知見を基盤として、世界最高レベルの力触覚伝達機能を備えた国産の医療・福祉介護ロボットの実現を目指す。

研究活動の実用化には、「京浜臨海部イノベーション国際戦略特区」および「さがみロボット特区」を活用するとともに、県内企業や大学、公設試、医療機関などで構成するコンソーシアムを形成し、産業応用や臨床応用の飛躍的推進を図る。

 

〝優しく柔らかな〟 人間支援ロボット

超高齢社会では高齢者の増加に伴いますます若年介護者が必要となる。その結果、社会の持続的発展を達成するために必要な生産人口が減少することとなる。こうした背景から人間の動作を物理的に補助する新ロボット技術の研究開発が強く望まれる。

しかし、人間支援には産業用ロボット技術で培ってきた力強く精密な動作だけでは対応しきれない場面が多い。人との身体的な接触が必要となる支援動作では、優しく柔らかな動作が不可欠となるからだ。

プロジェクトでは、アクチュエータ技術に加えて、力触覚基盤技術、モータ制御技術および生活支援応用技術を結集し、超高齢社会に必要とされる医療・福祉・介護を支援する実用的な次世代支援ロボットの開発を行う。

 

力触覚を実装することでロボットが〝力を感じる〟

人間支援を行うロボットには、人間との物理的インタラクション(相互作用)が必須とされるが、人間の意図に反さず優しく接触するための繊細な力加減の制御が人間支援実現のカギとなる。力触覚技術を実装することでロボットは力を感じることができる。

プロジェクトでは、力触覚技術の応用対象を、医療を支援するための「医療デバイス」、「手術支援ロボット」、障害などに起因する身体能力の低下を補う福祉を支援するための「リハビリテーション支援ロボット」、高齢者介護を支援するための「生活支援ロボット」の4つに大別。

随時研究開発および成果の実用化を行うことで段階的にノウハウや技術を蓄積し、次の研究開発、実用化へ繋げていく。


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