2017年2月22日 制度の合理化等 今後の化学物質対策の在り方で答申

環境省の中央環境審議会はこのほど、今後の化学物質対策の在り方について環境大臣に対し答申した。答申では、少量新規化学物質確認制度と低生産量新規化学物質確認制度の合理化、毒性が非常に強い新規化学物質の管理について、現行制度の概要と課題、具体的な措置を示している。

少量新規化学物質確認制度と低生産量新規化学物質確認制度の合理化では、現行の制度において、国による数量調整が増加した結果、製造・輸入事業者が当初予定していた数量を確保できないことにより製造・輸入事業者を含めたサプライチェーン全体でビジネス機会が消滅し、損失が発生してしまうおそれが高まっていることを指摘。

その上で、両制度の全国上限という考え方は欧米にはないが、人の健康や生態系への安全性を確保する観点から、この考え方を撤廃することなく、リスクを基礎とした管理の考え方を導入して、全国上限値を製造・輸入予定数量から環境排出量ベースに変更することを検討するよう求めた。ただし、現行の個社上限は維持するとともに、環境排出量ベースで定める全国上限値に収まるよう各申出者の製造・輸入予定数量を引き続き調整することとしている。

また、日本の化学産業が少量多品種の形態に移行していることを受けた制度見直し案として、両制度の確認の基準となる全国上限値を「製造・輸入予定数量」から、製造・輸入数量と用途に応じた排出係数から算出される「環境排出量ベース」に変更することを提言。これにより、個社上限値まで製造・輸入を行うことができる機会が増え、これまでよりも環境への負荷を増大させずに、事業者の予見可能性を向上させることが可能とした。

見直しに当たっては、両制度の特徴に応じて、引き続き安全側に立った運用について、今後、それを議論する適切な場において、速やかに検討することを提言。例えば、用途別の排出係数の用い方は、安全側に立った排出係数の設定・運用とるよう求めた。  さらに、用途情報の正確性を担保するためにも、両制度の届出・申出の際に、事業者から追加情報を求めるなど、国が用途情報を厳密に把握できる体制の構築について速やかに検討すべきとの考えを示した。

毒性が非常に強い新規化学物質の管理では、不用意に環境中に排出されないよう、事業者に適切な取扱いを促すための新たな措置を講じることが必要との考えを示した。

その上で、優先評価化学物質に関する措置を踏まえ、新規化学物質の事前審査で、毒性が非常に強いことが判明したものの、環境排出量が少ないために優先評価化学物質等に指定されない物質については、不用意に環境中に排出されないよう、事業者に適切な取り扱いを促すため、情報伝達の努力義務、指導と助言、取扱いの状況に関する報告の措置を講じるよう求めた。

また、これらの措置については、当該化学物質の名称が公示され、一般化学物質となった後も、毒性が非常に強いことに変わりはないことから、継続することが必要としている。

このほか、既存化学物質について、毒性が非常に強いことが判明した場合には、すべての事業者に毒性が強く取扱いに注意が必要な物質である旨を業界団体への周知、HP等での公表によって伝達し、取扱いの注意を促すよう提言した。


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