2022年3月3日 利用円滑化特措法改正案を国会提出 増加見込みの所有者不明土地の管理を適切に!

所有者不明土地が東日本大震災の復旧・復興事業などの妨げとなっていたことを契機に、平成30年に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が制定され、所有者不明土地を地域のために役立てる制度や収用手続の迅速化のための制度が創設された。

今後も引き続き所有者不明土地の増加が見込まれる中、その利用の更なる促進を求める声や、管理がなされていない所有者不明土地がもたらす悪影響を懸念する声が高まっている。

このため、政府は、市町村をはじめとする地域の関係者が実施する所有者不明土地対策を支える仕組みを盛り込んだ「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を先月、閣議決定した。特措法改正法案は今国会に提出され、夏までに成立を目指す。

 

少子高齢化で土地ニーズが低下

わが国の人口減少・少子高齢化が進む中、相続件数の増加、土地の利用ニーズの低下と所有意識の希薄化が進行している。

国土交通省では、今後、所有者不明土地のさらなる増加が見込まれると予測している。対策としては、「利用の円滑化の促進」と「管理の適正化」は喫緊の課題。

このため、市町村をはじめとする地域の関係者が行う施策を支える仕組みをより充実させることが必要となっている。

利用円滑化の特措法改正法案の骨子は、①利用の円滑化の促進、②災害等の発生防止に向けた管理の適正化、③所有者不明土地対策の推進体制の強化‐の3点。

 

~所有者が分からない土地を地域のためにもっと使いやすく~

1) 所有者不明土地を公益性の高い施設として活用する「地域福利増進事業」の対象事業に、備蓄倉庫等の災害対策に関する施設等の整備を追加。

民間事業者が実施する地域福利増進事業のための土地の使用権の上限期間の延長や、事業計画書等の縦覧期間の短縮等を措置。

老朽化の進んだ空き家等がある所有者不明土地であっても、地域福利増進事業や土地収用法の特例手続の対象として適用。

2) 法目的に、現行の「利用の円滑化」だけでなく、「管理の適正化」を位置付け。

引き続き管理が実施されないと見込まれる所有者不明土地等について、周辺の地域における災害等の発生を防止するため、市町村長による代執行等の制度を創設するとともに、民法上利害関係人に限定されている管理不全土地管理命令の請求権を市町村長に付与。

代執行等の準備のため、所有者探索に必要な公的情報の利用等を可能とする措置を導入することとする。

3) 市町村は、所有者不明土地対策計画の作成や所有者不明土地対策協議会の設置が可能となる。

市町村長は、所有者不明土地や低未利用土地等の利活用に取り組む法人を所有者不明土地利用円滑化等推進法人として指定するができるようになる。

市町村長は、計画の作成や所有者探索を行う上で、国土交通省職員の派遣の要請が可能となる。


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