2016年7月4日 介護ロボ導入の補助金、申請が殺到 予算オーバーで薄く広く交付へ

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介護ロボットの導入を後押しする国の補助金が人気だ。厚生労働省によると、締め切りまでに寄せられた要望の総額は予算の4倍を超えた。なるべく多くの施設・事業所に行き渡るよう、1施設・事業所あたりの上限額を3分の1以下まで引き下げるという。

老健局の担当者は、「当初の想定を大きく上回っている。査定などの作業もかなり遅れてしまった」と話す。補助金の条件の良さやニーズの大きさが背景とみられる。

この補助金は、「1億総活躍社会」につなげる施策を目玉とした昨年度の補正予算で創設されたもの。介護職員の負担軽減や業務の効率化に向けて、新たな技術の活用を促す狙いがある。対象は移乗や移動、排泄、見守りなどで役立てられるタイプだ。希望する施設・事業所は、実際に使いたい機種やその活用法、見込まれる効果などをまとめた計画をつくり、市町村に提出して申し込む。国がそれをチェックし、妥当かどうかを判断する流れだ。

こうした補助金はこれまでもあった。ただし、1機器あたりの上限額は10万円、20万円未満のものなら2分の1という内容。高い性能を持つロボットを購入するには、事業者が残りを負担しなければいけなかった。これに対し、今回の補助金の上限額は300万円。「高額なロボットの導入を特別に支援する」として、補助率は10分の10とされた。「介護離職ゼロ」という掛け声のもと、政府が思い切って拡充した形だ。

 

■ 交付先は5475施設・事業所に

反響は大きく申請が殺到した。施設・事業所が出した計画の金額をすべて合わせたところ、用意していた経費(最大52億円)の4倍を上回った。このため厚労省は、1施設・事業所あたりの上限額を92万7000円まで減らす対応を決定。公平性を担保することに加えて、実際にロボットを取り入れている介護の現場を増やすことも重視し、薄く広く配る方針に転換した。このほか、市町村ごとに「1法人1事業所まで」という制限も新設。補助金の対象は全国5475の施設・事業所になるという。

各施設・事業所では、こうしたルールの変更を踏まえて計画の練り直しも進められている。上限額の見直しなどにより、台数を減らしたり機器の組み合わせを変えたりする調整が必要になった。厚労省は今後、修正した計画を出してもらう期限を定めて通知する考え。老健局の担当者は、「自治体や事業者の声も聞き、無理のないスケジュールとなるようにしたい」と話している。

介護ロボットの普及を加速させるため、国がこれほど大規模な補助金を出すのは今回が初めて。人手不足が深刻化する今後を見据え、政府は新たなテクノロジーをうまく活用していくよう引き続き勧めていく方針で、更なる支援への期待も高まっていきそうだ。

 


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