2016年7月6日 人工知能分野で共同講座を開始 阪大とパナソニックが国内初の学際融合研究

国立大学法人大阪大学パナソニック株式会社は、人工知能技術とそのビジネス応用に関する人材開発を共同で行う人工知能共同講座を開始することで合意した。人工知能分野において、大学と産業界による共同講座の実施は国内初の取組み。

講座では、すでに6月下旬からパナソニックの技術者を対象とした試行カリキュラムを開始しており、2017年4月からは、阪大の学生や今回の取組みに賛同する他の企業や大学に対しても、カリキュラムを提供していく。

近年、IoT、ビッグデータ、人工知能などの情報技術革新が急速に進む中、これらに関する技術やビジネスを担う人材ニーズが高まっている。

 

組込み技術者の育成が急務

パナソニックには、家電や情報機器などの組込みシステムを中心とした製品開発を担当する多くの技術者が存在する。今後、これらの技術者を教育し、新しい情報技術、特に人工知能に関する技術を使いこなし、人工知能を活かした新しいビジネスモデルによる製品やサービスを生み出せる人材を創出することが急務となっている。

また、家電、住宅、車載、B2Bといった領域における研究開発、製造、販売、顧客サポートまでの事業活動で、さまざまなデータが発生しており、データを活用した付加価値の高い製品やサービスの提供も重要となってきている。

一方、阪大では、情報科学研究科を中心に、従来の情報科学に関する基礎的なカリキュラムに加え、近年の情報科学革新を踏まえたビッグデータ、ビジネス情報システム、知能推論、知識科学、知能アーキテクチャなどのカリキュラムの拡充を進めている。

また、今年4月に立ち上げた「データビリティフロンティア機構」において、阪大のすべての学問分野を対象に、実験やシミュレーションのプロセスで得られたビッグデータを蓄積し、高度な統合利用が行えるプラットフォームの構築を進めており、そのプラットフォーム上で学際融合研究を行うことを目指している。

これらパナソニックの人工知能人材開発やデータ活用のニーズと、阪大の知能科学技術や学際融合研究のシーズを融合させて、1)人工知能技術統合カリキュラム:散在する人工知能技術に関する講義を1本化した、オープンな人工知能カリキュラムの構築、2)データ利活用基盤の共同推進:実証実験を通じた、データ利活用における技術課題・社会課題の解決をねらいとした人工知能共同講座を開始する。

講座では、人工知能技術を研究開発やビジネスに活用できる人材を座学+実プロジェクトによる実学で創出することを目指す。当面は、試行カリキュラムとして、6か月間のデータマイニング基礎講座や機械学習基礎講座を、パナソニック内の人工知能研修施設で同社の技術者向けに実施する。

 

阪大は実践的専門人材を育成

阪大では、データビリティフロンティア機構における実践専門人材育成への展開を図るとともに、人工知能技術を核とした異分野間のデータクロス誘発に基づく新たな学際融合研究を推進する。パナソニックでは、社内の研究開発から、商品開発、モノづくり、マーケティング、顧客サポートといった自社業務に関する実プロジェクトで実証するとともに、将来は顧客へ業務革新ソリューションとして提供。両者でこれらの活動により蓄積していくデータに基づく情報や知識を活用した新たな産学連携による協創の場づくりを目指す。


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