2017年8月24日 乳酸菌摂取の保健効果を明らかに 東北大メディカル機構とヤクルトが共同研究

東北大学東北メディカル・メガバンク機構とヤクルト本社は、乳酸菌摂取による保健効果を明らかにすることを目的とした共同研究を実施する。共同研究は平成32年度末までの期間を予定しており、得られたデータは、東北メディカル・メガバンクに格納され、データ整理や解析を経て、全国の研究者に分譲、有効活用される。

 

数万人以上の規模の疫学研究で相関を解明へ

共同研究では、東北メディカル・メガバンク機構が実施するコホート調査(※)の参加者を対象に、乳酸菌飲料および発酵乳の摂取状況のアンケート調査を行う。対象は東北メディカル・メガバンク機構による最大9万人に及ぶ調査を利用し、同意を得た上で、乳酸菌飲料や発酵乳の摂取状況に関するアンケート調査への回答を依頼する。

アンケートを東北メディカル・メガバンク機構が管理する疾病罹患・生理機能情報、生活習慣情報と合わせて解析することにより、乳酸菌摂取と健康指標の関連を調べ、保健効果を明らかにすることを目標としている。

遺伝情報や、血液中や尿中の量が変化する疾患バイオマーカーの測定・比較解析するオミックス情報などを含めた総合的な解析を行うことで、東北メディカル・メガバンク計画が目指す個別化予防の基盤構築にも貢献する。

これまで乳酸菌の接収による保健効果は、ある特定疾患に絞った介入試験によって検証されてきた。具体的には、がんを含む生活習慣病など、発症までに期間を要する疾患については、特定の乳酸菌を用いた高リスク群を対象とした短期の介入試験が実施され、再発予防や発症リスク軽減効果を示唆する結果が報告されている。

一方、健常人では長期的な予防効果を介入試験により明らかにすることは困難で、大規模な調査と長期的な追跡調査が必要となる。このため、今回、さまざまな乳酸菌を利用した乳酸菌飲料及び発酵乳の摂取頻度や摂取履歴を商品ごとに調査することで乳酸菌摂取の予防効果を検証することとした。

既に実施したベースライン調査や今回の調査と同時に実施している詳細二次調査で得られた疾患既往や生理機能と特定の乳酸菌摂取との関連性の断面解析が可能となり、乳酸菌飲料および発酵乳の摂取習慣が現在の県境場と関連するかを検証することができる。

これらの解析により、これまでに明らかになっている乳酸菌の保健効果に対する科学的エビデンスが強化されるとともに、これまで明らかにされていなかった疾病や生理機能低下に及ぼす未知の作用が見出されることが期待される。

さらに、コホートの追跡に伴い、乳酸菌飲料および発酵乳の摂取習慣がその後の疾病罹患と関連するか、乳酸菌の種類によって健康影響は異なるかについての分析も可能になる。乳酸菌による保健効果の違いの有無やその適応を明らかにすることは、今後の日本人の健康維持に貢献できる科学的エビデンスの創出もできると考えられる。

※ コホート調査=ある特定の人々の集団を一定期間にわたって追跡し、生活習慣などの環境要因・遺伝要因などと疾病発症の関係を解明するための調査のこと。


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