2017年7月27日 ブルートゥース活用し防災情報配信 東大研究室が民間団体とシステムを共同開発

東京大学大学院情報学環の中尾研究室(代表:中尾彰宏教授)と民間任意団体IPDCフォーラム(代表:慶應義塾大学大学院・中村伊知哉教授)は共同で、近距離無線通信の規格のひとつ『ブルートゥース』を活用した防災減災情報等のプッシュ型情報配信システムを開発した。

現在、スマートフォンで緊急情報を受信するには、通信事業者のSMS(ショートメッセージシステム)を使ったエリアメールや、アプリを使ったインターネット経由での受信が一般的。しかし、SMS経由では送れる情報量に制限がある。また、特に緊急時には通信事業者やネットの輻輳などが起こりやすく、必ずしも確実に届けることができない可能性がある。

さらに、今後2020年に向け飛躍的に増加が期待される訪日外国人に関して、そもそも通信事業者との契約のない利用者やSIMを持たないケースも想定され、当然ですがスマートフォンやタブレットではエリアメールを受信することができない。

訪日外国人の急速な増大に備え、国が2020年に向けて整備を進めているフリーWi-Fiを用いたインターネット接続では、利用者数が増えると受信に時間がかかったり、接続手順がそもそも面倒、緊急時に上手くつながらないといった課題が指摘されている。

このような問題を解決する一つの手段として、今回、東大中尾研究室とIPDCフォーラムは、通信事業者契約やSIMの有無にかかわらず、防災減災情報を安定的にスマートフォンやタブレットで受信できるシステムを共同開発した。

これまで中尾研究室では、ブルートゥースを用いたビーコン機能を拡張し、テキストや画像まで直接配信可能な組み込み型の小型装置「BeaconCastボックス」の開発を行ってきた。

一方、IPDCフォーラムでは、防災減災情報を配信するために標準化されている防災規格をさまざまな通信方式に対応するためのワンストップ化を推進しており、今回、この両者の取り組みがコラボレーションすることで、ブルートゥースを活用した防災減災情報等のプッシュ型情報配信システムが実現した。

このシステムの開発により、今後急速な増加が期待される訪日外国人に対して、通信事業者契約がない場合でも、地域ごとのきめ細やかな防災減災情報を輻輳等の心配なく安定的にプッシュ配信するとともに、接続手順の分かりにくいフリーWi-Fiへの接続をワンタッチ化。地域ごとの情報の取得をより円滑化するなど、2020年の防災減災分野でのおもてなしを飛躍的に向上させる可能性が高まることが期待される。

さらに、この仕組みは、平時利用にも活用可能で、防災減災情報のプッシュだけでなく、地域の情報を面倒なWi-Fi接続なしで、手軽に届ける手段としても活用されることが期待される。

このシステムのデモンストレーションが、7月20日・21日に東京国際フォーラムで開催された「ケーブル技術ショー2017」のテーマ展示ゾーンで行われ、体験する来場者の姿が多数みられるなど好評を得た。


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