2017年11月27日 スムーズな移乗の電動車いす型ロボ NEDO事業成果に民間企業が開発製造

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業の成果をもとに、民間企業がスムーズな移乗を可能にする次世代スマートモビリティとして、電動車いす型ロボット「RODEM」を開発し、11月20日に販売を開始した。

NEDO事業によりこのロボットを開発したのは、福岡県のロボット製造・開発企業(株)テムザック。RODEMは、NEDOの「ロボット分野の国際研究開発・実証事業」で得られた検証結果をもとに、実用化に即した機能に絞り込み、被介助者と介助者双方の負担を減らす工夫を凝らしている。

今後、介護福祉の分野で、欧州をはじめとする多くの国々で日本のロボット技術を生かしたこの製品が普及し、被介助者の自立支援や介助者の負担軽減に寄与することが期待される。

世界的な高齢化や生活水準の向上に伴う健康志向の高まりを受け、今後高い成長が期待される医療、介護、健康、福祉などの生活支援関連の産業分野では、日本企業が強みを有するロボット技術の活用が求められている。このような背景のもと、これまでNEDOでは、導入地域のニーズや事業により得られた成果をフィードバックし、さらなる技術水準向上や海外展開や市場化の促進などを図ることを目的に、ロボット分野の国際研究開発・実証事業を実施してきた。

この実証事業で、(株)テムザックは、移乗が簡単な車いす型ロボットの実証機を開発。日本同様に少子高齢化が進み、医療や介護などにかかる費用が国家財政の多くを占めるデンマークで、介護や福祉に従事する人々の負担軽減や、車いすを利用する高齢者らの自立支援に関する検証を行ってきた。

実証試験の実施にあたっては、2014年にNEDOとデンマークのコペンハーゲン、ファーボ・ミッドフュンの両市の間でMOU(基本協定書)が締結され、現地の介護・福祉施設での臨床試験等を通して商用機に必要な技術的課題やマーケティングの基盤情報の抽出が行われた。

事業終了後には、引き続き同社が実際の商用機の開発やマーケティング戦略の立案を重ね、スムーズな移乗を可能にする次世代スマートモビリティとして、電動車いす型ロボット「RODEM」の販売開始へと至った。

このロボットは、前方から〝座る〟形式の一般的な車いすとは異なり、後ろから〝座る〟形式を特徴とし、体の向きを変えることなくベッドや椅子、トイレなどへの移乗が可能となり、ユーザーの背中や腰にかかっていた負担も大幅に軽減されることが期待されるなど、実用化に即した機能に絞り込み、被介助者と介助者双方の負担を減らす工夫を凝らしている。

今後、介護福祉の分野で、欧州をはじめとする多くの国々で日本のロボット技術を生かした同製品が普及し、被介助者の自立支援や介助者の負担軽減に貢献することが期待される。

また、このロボットについては、11月29日から12月2日に東京ビッグサイトで開催される「2017国際ロボット展」のNEDOブースでの展示を予定している。

 

【RODEMの特徴】

電動車いす型ロボット「RODEM」は、生活の質(QOL)を向上させる以下の三つの機能を特徴とし、ユーザーの質の高い生活を実現するための自立・移動を支援する。

①遠隔操作機能 Bluetoothによるスマートフォン連携機能を搭載し、スマートフォンからの遠隔操作が可能。

②座面の上下機能 ベッドや椅子等の高さと座面の高さを揃えることができ、そのまま後ろから移乗することで、簡単に乗り移ることができます。座面を一番高くすると、歩行者とほぼ同じ目線での移動や会話が可能になる。

③その場旋回機能 小回りが利き、最小回転半径でのその場旋回ができるため、エレベーターやトイレなど狭い空間でも反転することが可能。


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