2020年10月27日 スマートケミストリーラボを設置 統数研とJSRが材料開発を飛躍的に効率化

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 統計数理研究所(所在地:東京都立川市、椿 広計所長、以下「統数研」)と、JSR株式会社(本社:東京都港区、エリック ジョンソン代表取締役CEO、以下「JSR」)は、今年10月から新たに共同研究部門「JSR‐ISMスマートケミストリーラボ」(以下「共同研究部門」)を設置することで合意した。

データ駆動型材料研究を促進する基盤技術を共同で開発し、機能化学品の分野を対象に新規材料開発の飛躍的な効率化を目指す。

統数研とJSRは、2017年から現在に至るまで、マテリアルズインフォマティクスの技術開発と実証研究を推進してきた。今回の共同研究部門の設置により、両者の協力体制の更なる強化を図る。

 

博士研究員を募集

共同研究部門には、統数研ものづくりデータ科学研究センターの研究者4名を含む統数研の研究者5名が参画する。また、現在、共同研究部門に参画する博士研究員を募集している。JSRからは、マテリアルズインフォマティクス、計算・理論化学、高分子化学・有機化学を専門とする3名の研究者が事業に参画する。JSRは参画者を統数研に滞在させて、統数研の人材育成プログラムやOJTを活用してデータサイエンス人材の育成を図る。

実験結果の観察により理論を構築し、測定や計算によって検証し材料設計を行うという旧来の材料開発手法とは異なり、共同研究部門では多次元にわたる材料空間の新しい可視化や表現手法の開発、高速な計算化学手法を用いたデータ蓄積による性能予測モデルの適用範囲の拡大、理論的な洞察に基づいた新しい物性記述子の開発など化学とデータ科学を融合させたアルゴリズムを開発し、ソフトウェアとして実装する。これらの研究成果によって高機能高分子や感光性材料などの機能化学品の開発効率が飛躍的に向上することが期待される。

 

開発効率を飛躍的に向上

統数研は、データ科学を専門とする国内で唯一の研究機関。1944年の設立以降、データ科学の理論と応用において、世界をリードする先駆的な研究成果を生み出してきた。

JSRは1957年に合成ゴムの国産化を目指して設立された(旧社名:日本合成ゴム株式会社)。その後、エマルジョンや合成樹脂へと事業を展開し、1970年代後半からはそれらで培った独自の高分子技術を活用して半導体材料・ディスプレイ材料・光学材料等へと業容を拡大してきた。

足元では、ライフサイエンス事業を新しい柱として、バイオ医薬など最先端の医療ニーズをとらえたバイオプロセス材料や診断薬材料、創薬支援サービスなどを提供し、収益の拡大を進めている。

共同研究部門は、産業的課題の解決を図りながら、同時に産学の価値共創のもとでサイエンスの基礎研究を推進する。研究成果を積極的に社会に還元し、データ駆動型材料研究の学術的発展に貢献する。


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