2019年11月5日 ストロー配布停止、使用量削減に効果 千葉大学生が調査 売り上げへの影響などに懸念

千葉大学環境ISO学生委員会では、学内からプラスチックごみを減らすとともに、学生・教職員の海洋汚染への意識の啓発を図る目的で、「プラスチックストローの配布を一時停止」「紙ストローの有料化(1本5円)」「販売データとアンケートによる検証」の実証実験を行った。プラスチックストローの使用量削減への効果が明らかになる一方で、紙ストローに関しては、歯ざわりなどで利便性に欠いていたことがわかった。また、売り上げ数や店舗利益に影響を及ぼす懸念があるなど、課題も浮き彫りとなった。

ここ数年、プラスチックごみが川や海を流れ、「マイクロプラスチック」と呼ばれる細かな塵となり、海洋汚染に大きな影響を及ぼしている。最近では、絶滅が危惧されるウミガメの鼻からストローを取り除く動画が拡散されたことから大きな話題となった。

千葉大生協では500ミリリットル紙パック飲料購入者に、プラスチックストローを無料で配布しており、年間およそ3万本を使用している。このような現状を受け、千葉大で環境活動を実施する「環境ISO学生委員会」では、環境問題の深刻性を伝えるために、プラスチックストローに関する実証実験を行った。

実証実験はこの夏4日間、千葉大西千葉キャンパスの大学生協で実施。500ミリリットル紙パック飲料の購入者に対し、プラスチックストローの配布を一時停止し、代替となる紙ストローを1本5円で販売。実験データとして、飲料やストロー販売数の確認とアンケート調査を実施した。

500ミリリットル紙パック飲料は実験期間中に251本を販売し、このうち、紙ストローを購入した人は129人(51.4%)だった。48.6%の利用者がストローの購入を控えたため、ストローの使用量は半減した。興味本位で紙ストローを購入する人も少数ながらいたため、長期で実験を行った場合はさらにストローの購入率は減少すると予想される。

実験した週の500ミリ紙パック飲料の販売数は前後の週より少なかったが、500ミリリットルペットボトル飲料や飲料全体でも同様の変化がみられたが、実験週の平均気温が前後週と比べて低かったことが影響していると考えられる。しかし、紙パック飲料の購入減にストロー有料化による抑止力が働いている可能性も無視できないという。

また、アンケートからは、紙ストローを利用した感想は「使いやすかった」が32%、「使いにくかった」が37%、今後、プラスチックストローの代わりに紙ストローを有料で導入することについては、「とてもいいと思う」21%、「どちらかといえばいいと思う」19%である一方、「どちらかといえば悪いと思う」35%、「とても悪いと思う」25%という結果になった。

ISO学生委員会では、このアンケート結果から、使用する紙ストローの製品を変更するか、生分解性プラスチックなど環境負荷が低い他のストローに変更するなどの改善を検討する必要があると分析している。

また、今回の実証実験を通して、プラスチックストローの配布廃止と紙ストローの有料化は、ストローの使用量を減少させる効果があることが明らかとなった。一方で、「今回の実験で使用した紙ストローは歯ざわり等の利便性に欠けていた。利用者によっては注ぎ口から直接、飲料を飲む人もみられ、不満が高いように見受けられた」「500ミリリットル紙パック飲料の売り上げ数や店舗利益に影響を及ぼす懸念がある」など多くの課題も浮き彫りとなった。

委員会では、「使用する紙ストローの製品を変更するか、環境負荷が低い他のストローに変更する」「ストローの設定価格を見直すなど必要に応じて対策を講じる」など改善案も検討していく必要があるとしている。


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