2016年8月25日 ストレスチェック、医師の6割「効果ない」 メンタルヘルス不調を未然に防ぐ働きに疑問

ストレスチェック制度について、医師の6割以上が「効果が無い」と考えていることが16日、国内の医師約10万人以上が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」の調査でわかった。

この制度は、医師や保健師などが従業員50人以上の事業所に対し、ストレスチェックを行うことを義務付けるもの。メンタルヘルスの不調を未然に防ぐ「一次予防」として位置付けられており、従業員から申し出があった場合は、医師による面接指導も行われる。改正労働安全衛生法により昨年12月に施行され、対象の事業所は今年11月30日までに検査を行う必要がある。

調査:ストレスチェック制度はメンタルヘルスの1次予防に効果があるか? (MedPeerより引用)

調査:ストレスチェック制度はメンタルヘルスの1次予防に効果があるか?
(MedPeerより引用)

調査は、インターネットを通じて8月3日から9日かけて実施。サイトに登録している4031人の医師から有効な回答を得た。その結果、「ストレスチェック制度がメンタルヘルス不調の一次予防として効果的か」という質問に対し、62.1%が「効果がない」と答えた。

このうち45.3%にあたる1828人は「どちらかと言えば効果はない」と回答。コメントをみると、「やってみるとわかるが完全に自己申告制なので『私は会社のせいで病気になった!休ませろ!』というタイプの人が引っかかって、本当に抑うつ状態の人がすり抜ける恐れが大いにある」(30代、一般内科、女性)や「高ストレス判定の中でも、面談を申し込んだ方がよさそうな人が申し込んでこない」(40代、産業医、女性)など、チェックの精度に疑問を持つ声がみられた。

残りの676人(16.8%)は「まったく効果がない」と指摘。意見も「一次予防というなら、職場の人と仕事のマネジメントの問題であって、健康の問題でない」(60代、呼吸器科、男性)や「チェックしたという事実だけが、事務方にとって重要で、チェック後に何らかの対策が取られた形跡を見たことがないから」(40代、循環器外科、男性)など、厳しいものが寄せられた。

一方、「どちらかと言えば効果がある」と答えた医師は、全体の35.6%にあたる1435人。こちらでは、「これはストレスチェック自体の効果ではなく、ストレスチェックを行うことでの本人自身や管理者に対する啓蒙を促す効果がある」(40代、心療内科、男性)や「まったく実施してこなかった事業所や従業員に意識を少しでも持ってもらうということでは、いくらか意味がある」(40代、検診・予防医学、男性)など好意的な意見もみられた。ただし、「かなり効果がある」と答えた医師は、わずか92人(2.3%)のみだった。

 


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