2020年3月3日 グレタさんへ「共感」3割以下 若者意識調査、CO2は7割が「削減すべき」

環境問題への発言で世界的に注目を集めているスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんの行動や考え方に共感するわが国の若者は3割に留まっていることが、日本財団の調査でわかった。同財団が17歳から19歳のハイティーンを対象に実施した調査で明らかとなったもの。一方で、全体の7割近くが二酸化炭素(CO2)を削減すべきと考えているなど、環境問題そのものへの関心は高い。

 

温暖化「人間の社会活動」63%

海面の水位や温度の上昇、大型台風や高潮、猛暑といった温暖化の影響と考えられる異常現象が世界で頻発しているなか、温暖化の原因を尋ねたところ、63.7%が「人間の社会活動に伴う温室効果ガスの排出」と回答。「地球の自然サイクル」は6.8%となった。

温暖化の理由を「温室効果ガスの排出」と答えた若者に回答した理由を聞くと、「ニュースで聞くから」「学校の授業で習ったから」が最も多く、報道や授業からの情報で、あまり具体的な内容を記載していない回答が目立った。

このほか、CO2の排出がここ数年増えていることや、「産業の発展に伴い、地球の温暖化が進んでいると思う」「近代化とともにそういった現象が問題視され始めたから」など、近代化や産業の発展とともに温暖化などの問題が起こっていることが、温暖化の原因が人間によるものであると回答した理由として上がった。

一方、「地球の自然サイクル」と回答した理由は、地球の自然サイクルを見ると氷河期と温暖化を繰り返しているという意見とともに、「排出されるCO2は全体の約3%だと聞いた」「人間が出している二酸化炭素の割合はかなり少ない」と、人間の活動で排出されるCO2量では地球への影響は少ないという意見が聞かれた。

わが国のCO2排出量は世界第5位となるが、CO2を「削減すべき」と答えたのは68.8%で、「社会活動のためやむを得ない」(12.9%)を大きく上回った。また、温暖化対策は誰が中心になるべきかという問いを若者に投げかけた。最も多かったのは「社会全体」で48.8%。次いで25.7%の「政府や行政」、「企業」が9.3%。「わからない」は16.2%だった。

 

パリ協定目標、約3割が「不十分」

国際的枠組み『パリ協定』で平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度以内に抑える努力をすることになっている。わが国は2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度水準から26%削減する中期目標を打ち出しているが、各国に比べて十分だと答えたのは23.0%、「十分ではない」(29.4%)と拮抗している。最多は「わからない」の47.6%。

十分ではないと答えた理由としては、「日本はそもそも排出量が多いのだから、もっと削減に力を入れるべき」など、排出量の多さの割に削減目標が少ないという理由や、「他国に比べてやはり目標が低いと思う」などの指摘が目立つ。

一方、十分だとした理由としては、「他国に比べて同じくらい、もしくはそれを上回った目標を立てている」など、他国と比べて多く削減しようとしているという回答や、「いきなり減らすのではなく、徐々に減らしていく方が現実的」など、現実的な目標であるという理由が挙げられた。

さらに、温暖化対策に向けて必要だと思うことについても尋ねた。必要だと思う対策としては、「一人ひとりの努力」「一人ひとりが環境について考える」など、まず個人がこの問題への意識を高めて行動することが大切という意見が多数を占めた。また、公共交通機関を利用することや、車を乗ることを減らす、ハイブリット車や電気自動車の普及と開発を進めるなど、自動車からの排出ガスに関する記述も目立った。

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが2019年9月、国連の気候変動サミットで反温暖化を呼び掛けたことを受け、世界各国で若者が学校ストライキなど広範な抗議活動を行った。若者の半数以上となる52.9%が「どちらともいえない」と回答。「共感する」は29.6%で、グレタさんの呼び掛けや抗議活動への共感は3割に留まった。


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