2017年7月14日 クラウドサービスを運用開始 国立情報学研究所が法人契約で素早く簡単に

情報・システム研究機構国立情報学研究所(NII)は7月3日から、大学や研究機関の教職員や学生が教育・研究活動に必要な各種のクラウドサービスやインターネット上のサービスにワンストップでアクセスができるポータル「クラウドゲートウェイサービス」の本運用を開始した。法人契約を結んだ大学や研究機関に所属する教職員や学生は利用可能なさまざまなサービスに、素早く、簡単にアクセスすることができるようになる。

NIIは、大学や研究機関の教職員や学生が所属機関の認証システムに一度ログインするだけでインターネット上のさまざまなサービスを再度のログインなしで利用できるようになる認証連携基盤「学認」を運用している。「学認」が実現する「シングルサインオン」により、教職員や学生は「学認」に参加する学外の商用サービスを利用する際もサービスごとにログイン操作を繰り返す必要がなく、学内のサービスと同様にシームレスに利用することができる。

しかし、所属機関が法人契約していない場合など、誰もが「学認」に参加している全サービスを利用できるわけではなく、教職員や学生がどのサービスを利用できるかわかりづらいという課題があった。一方、大学・研究機関側にとっても、利用可能なサービスを集めたポータルを各機関で制作・管理するのは効率が悪く、更新が適切になされない、一部のサービスのみが管理されるといった問題もあった。

さらに、教職員や学生がそれぞれ個別にサービスを利用していると、利用の全体像を組織として把握できないために、不適切な利用といったセキュリティ―面の問題を認識できなかったり、組織全体で利用資源や利用ノウハウを集約するといった効率化が難しくなったりするという課題があった。

クラウドゲートウェイサービスはこうした問題を解決するために開発された。クラウドゲートウェイサービスはNIIが管理や運用を行う「クラウド利活用支援サービス」の一つ。短大を含む大学や高専、国公立の試験研究機関、研究や研究支援を目的とする独法や特殊法人、学会、学術研究法人、大学相当の教育施設などが無料で利用できる。

 

教職員や学生はワンストップで

クラウドゲートウェイサービスにはクラウドサービスだけなく、電子ジャーナルやe ラーニング、データベースなどのサイトや、チャット、webメール、ビデオ会議システムなどを登録することができる。クラウドゲートウェイサービスを利用する大学や研究機関の教職員や学生は、こうしたサービスがクラウドゲートウェイサービスを経由してワンストップで利用できるようになる。

各大学・研究機関は、「学認」に参加している商用サービス提供者(サービスプロバイダー=SP)のうち利用可能のものを登録すると、自機関のクラウドゲートウェイの画面には利用可能なサービスのみが表示される。「学認」に参加しているサービスは、シングルサインオンで利用可能。

さらに、「学認」には参加していないサービスをプライベートサービスとして登録可能で、「学認」に参加しているサービスとともに、すべてを一箇所にまとめて表示できる。例えば、各機関が法人契約しているクラウドサービスや学内サービスなどを、その機関に所属する教職員や学生に提示することができる。クラウドゲートウェイサービスは「学認」のグループ管理システムが提供していたグループの作成・管理機能を継承している。ナレッジベースやスケジュール管理などのサービスも引き続き利用できる。

NIIは、クラウドゲートウェイサービスに加えて、大学・研究機関のクラウド導入や調達を支援する情報提供・共有サービスの「学認クラウド導入支援サービス」やSINET経由でクラウド事業者のデータセンターに安全かつ高性能にアクセスすることを可能にする「SINETクラウド接続サービス」を提供している。さらに、クラウド上のソフトウェア環境構築を自動化・簡易化する「オンデマンドクラウド接続サービス」の試験運用も今年度中に開始予定。NIIではサービスの開発・提供を通じて、大学・研究機関におけるクラウドの導入から活用までの全てのステージに対する支援活動に継続して取り組んでいく方針。


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