2019年5月22日 カシオ、皮膚科向けカメラを発売 接写と通常撮影の機能、1台に集約

カシオ計算機は27日から、千葉大学と共同で開発した皮膚科医向けカメラ「DZ‐D100」を同社のウェブサイトで発売する。病変の色や構造を確認するための接写と、病変の位置を確認するための患部周辺を含めた全体の撮影が1台で出来ることが最大の特徴だ。総重量は、レンズを外付けするタイプの約1kgから、約400gまで小型化・軽量化。デザインでは持ちやすさを考慮し、両手だけでなく片手で持つことも意識した形状を採用した。価格は19万9000円(税別)となっている。

これまで皮膚科医が病変部を撮影する際は、専用レンズを外付けした市販のカメラを使うことが一般的だった。そのため、サイズが大きく、重量が重くなっていたほか、患部周辺を含めた全体撮影を併せて行う場合はレンズを交換するか、カメラを使い分ける必要があった。

「DZ‐D100」では、モードを切り替えることで接写と通常の撮影が可能になり、診察で必要な画像を簡単に撮影ができるようになった。接写モードでは、ボタンを1回押すだけで、光の反射を抑えて皮膚の薄皮のすぐ下にある内部の色や構造を写すのに必要な偏光撮影、皮膚の表面の病変部を撮影するのに便利な非偏光撮影、偏光では浮き出てこない隠れたシミやぼやけたほくろなどの辺縁部がくっきり写るUV撮影が可能。手間がかからないだけでなく、それぞれの画像が同一画角で撮影できるので、画像を比較するときに役立つという。

撮像素子からレンズまで一貫設計したことで、ゆがみを抑え、病変の形状などを正確に撮影できるようにもなった。接写撮影時に先端レンズ内から照射されるLEDライトは、投光のムラが少なく、画面の中心から端に至るまで撮影領域全体にわたり均一な画質を確保。一方、通常撮影時にはLEDリングライトにすることで、ストロボフラッシュとは異なり、点灯状態でカメラを構えられるので、液晶画面で見たままの画像が残せるよう配慮した。

 

■ 専用PCソフトが自動で画像管理

カシオは同日、信州大学と共同開発した専用のパソコン向け画像管理ソフト「D‘z IMAGE Viewer(ディーズイメージビューワー)」の提供も始める。「DZ‐D100」と無線LANによって連携させることで、撮影した画像を自動でパソコンに転送する機能を持つ。送られてきた画像は、自動的にIDごとに振り分けられるため、面倒なフォルダ分けをする必要がない。さらに、接写した画像上にスケール表示をすることが可能で、画面上で病変の大きさを確認できるほか、メジャー機能を用いて、例えば病変の端から端などの2点間の距離を測ることもできる。

カシオはこれまで、デジタルカメラ開発で培った画像変換技術を基にして、2015年に病変の構造や血管の分布状況を顕在化させる画像変換機能を用いて効率的にダーモスコピー検査(皮膚の腫瘍やホクロなどの色素病変を、ダーモスコープと呼ばれる特殊な拡大鏡で観察する検査)を学べる、無料のダーモスコピー学習用サービス「D‘z IMAGE」を開始。以後、医工連携を行いながらコンテンツを拡充してきた。


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